同社は、サポート終了まで2年を切る2018年1月以降には、活動をさらに本格化する考え。これは、Windows XPの終了時に「終了1年前から活動を本格化」したのに比べて、1年前倒しで進めることになる。
「まずは認知を高めることで、次のステップである移行措置へと踏み出すことができる」(古川氏)とし、Windows XPの延長サポート終了時に匹敵するマーケティング予算を投下するという。
これだけ早いタイミングで仕掛ける背景には、2014年4月のWindows XPの延長サポート終了時の反省がある。「Windows XPのサポート終了時には、残りの1年間で、日本全体の約30%に当たる法人PCが、Windows XPから移行することになった」(古川氏)という。
それが、業界の混乱を招くことにつながったのは明らかだ。このときには、消費税増税前の駆け込み需要も加わり、PCの品薄が発生。この年の国内のPC出荷台数は過去最高を記録した。
また、需要の集中によって、PCの生産が追い付かず、サポート終了後もPCの出荷が前年実績を上回るという状況が続いた。
電子情報技術産業協会(JEITA)によるPCの出荷統計によると、サポートが終了した2014年4月には前年同月比46.9%増、そして5月も同23.3%増という成長率を示し、サポート終了までにPCを調達できなかった企業が少なくなかったことが浮き彫りになっている。
しかも、その後は需要集中の反動が出て、JEITAの調査によると、23カ月連続で前年割れという事態に陥っている。
今回は、こうした事態を引き起こさないように、前倒しで仕掛けを開始し、出荷数量の平準化につなげる考えだ。
もう1つの反省材料が、Windows XPの延長サポート終了に伴うPC出荷台数のうち、約半数は予算外による購入だった点だ。「別の予算に当てられていたものを、Windows XPの移行予算に当てるという例が多かった」(古川氏)という。
本来ならば別の予算だったものが移行費用に当てられたということは、何かしらの投資が遅れたことを意味する。しかも、それがWindows XPに移行した企業の半数に達するというのだから、その影響は甚大だ。
2020年1月のサポート終了に向け、クライアントPCの移行措置を考えるのであれば、それは2019年度の予算で実行されることになる。そのためには、2018年度には予算確保に向けた活動を行わなくてはならない。今から告知を徹底するのは、予算確保に向けて余裕を持って準備する環境をつくるためだ。
そして、Windows 10では、WaaS(Windows as a Service)というコンセプトに合わせた仕組みに変更することになるため、この点でも、早い段階から準備をしておく必要があるといえる。
Windows 7の延長サポート終了に向けては、今から余裕を持った移行準備をしておきたい。
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