事業予測にAI活用も デジタル改革に“本腰”のMS平野社長、2018年度のビジョンはMicrosoft Focus(1/2 ページ)

日本マイクロソフトの平野拓也社長が、2018年度の事業方針を説明。事業予測にAIを活用しビジネスの精度を向上しつつ、インテリジェントクラウド&インテリジェントエッジを中核に据えたクラウド戦略や、新たなゲーミングビジネス戦略などを示した。

» 2017年08月05日 10時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
Photo 日本マイクロソフト 平野拓也社長

 日本マイクロソフトの平野拓也社長は、2017年8月1日、2017年7月からスタートした同社2018年度(2017年7月1日〜2018年6月30日)の事業方針について説明した。

 例年は7月上旬に会見を行い、その後に社員向けに説明を行うスタイルだったが、2017年は1カ月遅れでの開催となった。その理由は、大規模な組織変更を行ったことと、全世界のMicrosoft社員が集まる新たなキックオフイベント「Ready」での発表を反映して事業方針を説明したいという平野社長の意向に沿ったことにある。

 平野社長は、2018年度の注力分野に「働き方改革」「インダストリーイノベーション」「デバイスモダナイゼーション」の3点を挙げ、「これらの取り組みを通じて、2020年には、パブリッククラウドのリーディングシェア獲得を目指す」と宣言。Azureの売上規模をこれまでと同様、倍々で増加させていくこと、Office 365およびその拡張版となるMicrosoft 365の利用を促進し、現在、東証225のうち約80%の企業で利用している状況を100%にまで高めるとともに、中小企業向けにもより積極的に、クラウドを提案していくという考えを示した。

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インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジを重点戦略に

 今回の会見には、大きく3つのポイントがあった。

 1つは、クラウドビジネスの構成比が、2017年度第4四半期(2017年4〜6月)において、売上の47%に達したことだ。平野氏が社長に就任した2016年度第1四半期(2015年7〜9月)には、わずか7%だった比率を、ここまで引き上げてきたことは評価に値する。

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 平野社長は、「働き方改革がソリューション化され、そこにクラウドが使われ始めたこと、パートナーのクラウド戦略が功を奏しはじめたこと、クラウドを活用するというカルチャーが企業に浸透してきたこと、そして、Azureの認知度が高まってきたこと」を理由に挙げる。

 ただ、もともと「2017年度中には、50%をクラウドにする」と宣言していただけに、結果的には3%の未達ともいえるが、ほぼ半分に達したことは公約の範囲内といってもいいだろう。

 未達の数字に対して、「公約の範囲内」という言い方は甘いともいえるが、そう評価するのには理由がある。

 実は、クラウドビジネスの対比となるWindows 10搭載PCの販売が増加しているのだ。国内においては、PCの法人需要が拡大しており、日本マイクロソフトのWindows 10のOEMビジネスや、それらのPCに搭載されるOfficeのプリインストールのライセンスビジネスが予想を上回る形で推移。結果として、クラウドの売上構成比拡大に歯止めがかかった格好だ。社内では、「Windows 10が上振れしなかったら、クラウド比率は50%に達していただろう」という恨み節も聞かれるという。

 Microsoftは新年度から、「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」を重点戦略の中心に置いている。そして、インテリジェントエッジの中核を担うのが、Windows 10となる。クラウドビジネスが50%に達しなくても、Windows 10の予想を上回る成長は、同社のビジネスにとっては大きなプラスとなる。公約の範囲内という表現をするのには、そうした背景がある。

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