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» 2017年12月21日 08時00分 公開

IoTを使って「ながら運転」を防ぐスマホケース登場、そのメカニズムとは? (1/2)

車内にいる間はスマートフォンを使えなくする――IoTでそんな制御を行うスマホケースを使って、交通事故を減らそうとする実証実験が行われる。その仕組みは意外とシンプルなものだった。

[池田憲弘,ITmedia]

 スマートフォンを見ながら歩く「歩きスマホ」が社会的な問題になって久しいが、自動車の運転中にスマートフォンを利用する“ながらスマホ”も大きな問題になりつつある。画面に意識が集中して周囲の危険を察知できず、事故につながりやすくなってしまうのだ。

 警視庁の調査でも、スマートフォン利用中の事故が増えていることが分かる。2011年と2016年を比較すると件数ベースで約1.6倍となった。交通事故全体の件数は、3割程度減っているにもかかわらずだ。

 そうした問題をIoTで解決しようと、兵庫県のスタートアップ企業「Momo」と東京海上日動火災保険が、2018年1月に実証実験を行う。基盤が埋め込まれた専用のスマートフォンケースを使い、車内に取り付けたビーコンの電波を感知し、車内にいる間はアプリケーションを開かないように制御するというものだ。今後は、実験結果を踏まえトラックなどの事業者車両向けにサービスを展開していくという。

photo 2011年と2016年を比較すると、交通事故全体の件数は、3割程度減っているにもかかわらず、スマートフォン利用中の事故は約1.6倍になっている(出典:Momo)

スマートフォンケースを使って「ながら運転」を防ぐ――どうやって?

photo Momoの大津真人社長

 Momoの大津真人社長は、「既に大手飲料メーカーや運送業などから4000セットの納品依頼が来ている。当初は、信号待ちなどで停車しているときは使えるようにしようとしていたが、業界へのヒアリングの結果、それもまた事故につながる可能性があるということで、全面的に使えない方向で開発している。事故を減らすことで、保険料率を下げられる可能性もある」と意気込む。

 Momoは子供によるスマホの使いすぎを防ぐため、使用時間などを制限する専用ケース「OTOMOS(オトモス)」を開発しているが、ながら運転防止はこの技術を応用したものだ。車内にビーコンを設置し、人感センサーで運転者が近くにいることを認識すると、専用ケースに信号を出し、そのケースからUSB経由でスマホに信号が送られる。「Escボタンに相当する命令を送っており、アプリを開こうとしてもすぐに閉じるようになっている」(大津氏)とのこと。ケースにはスマートフォンからUSB経由で給電されるため、運転中に電源が切れてしまう心配もない。

photo 専用のスマートフォンケース。中に制御用の基盤が入っている

 このソリューションでは、センサーデータをクラウドなどWeb上に送るのではなく、Wi-SUNを使ったP2P通信で送る形を採用しているが、この理由について、大津氏は「交通事故はトンネル内やへき地でも起こり得る。SIMや3Gを使った通信では、そこに対応できない。MDMで制御しようとしても機内モードなどで通信を遮断されれば意味がない。その点、P2P通信であればコントロールを防ぐ方法がない」と説明。シンプルな構成であり、通信費用もかからないほか、デバイス自体も非常に安価だという。

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