6四半期連続で目標を達成 クラウドで勢いに乗るマイクロソフト、次の一手はMicrosoft Focus(1/2 ページ)

米市場で前年比55%増の成長を見せ、国内でも6四半期連続で目標を達成するなど、着実に存在感を増しつつあるMicrosoftのクラウドビジネス。リーディングシェア獲得に向け、次に打ち出す目標とは?

» 2018年02月17日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 米Microsoftが発表した2018年度第2四半期決算(2017年10月〜12月)は、同社のクラウドビジネスがさらに加速していることを裏付けるものになった。

 発表によると、全社売上高は前年同期比12%増の289億ドル、営業利益は10%増の87億ドルを計上した。そのなかで、法人向けクラウドビジネスの売上高は、前年同期比55%増の53億ドルとなった。製品別には、「Microsoft Azure」の売上高は前年同期比98%増、法人向け「Office 365」の売上高は同41%増、「Dynamics 365」の売上高は同67%増と、クラウド関連はいずれも高い成長を遂げている。

 社内的にはこの成長率に対しても「物足りない」との声が挙がっているともいわれるが、クラウド市場におけるMicrosoftの存在感は着実に増している。

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「Fortune 500」の96%がMicrosoftのクラウドを使用

 米Microsoftでは、2018年度に法人向けクラウドビジネスの通期売上高として200億ドルを目標に掲げていたが、2017年度実績で189億ドルとなり、2018年度の目標達成が射程圏内にあった。

 そして2018年度第1四半期の決算では、50億ドルを達成したことを報告。通期ランレート(四半期実績を基にした通期予測)に触れ、「法人向けクラウドビジネスの年間収益目標値であった200億ドルを上回った。すばらしいマイルストーンを達成した」というコメントを出している。「Fortune 500」の96%の企業がMicrosoftのクラウドサービスを1種類は使用し、90%の企業が2種類を使用していることなどを示し、こうした主要企業の相次ぐ採用がMicrosoftのクラウドビジネスの成長を支えていることを強調している。

 だが、今回発表された第2四半期決算では、もはや200億ドルという数値に自ら言及することはなかった。それは、この目標値が既に過去のものになったことを示したともいえるだろう。

 その点で、Microsoftが次にどんな目標を打ち出すのかが注目されるところだ。

 Microsoftでは、2018年度第1四半期から、決算発表にあわせて、同社のワールドワイドコマーシャルビジネス担当エグゼクティブバイスプレジデントのジャドソン・アルソフ氏が、Microsoftの具体的な成果や導入事例に言及するブログを公開した。これは、数値の観点からの発表になりがちな決算発表を、ビジネスの観点から補足する内容になっている。

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 アルソフ氏は、「業界リーダーとなるお客さまが、世界中で、ビジネス戦略や新製品の開発、組織文化革新の推進のためにMicrosoftを選択している」とし、製造、不動産、小売、飲食、ヘルスケア、政府など、第2四半期にトピックスとして明らかにされたさまざまな業界での導入事例を紹介している。

 大手広告代理店のPublicis Groupeでは、全世界8万人の従業員を支援するAIベースのプラットフォーム「Marcel」に、Microsoft AzureとOffice 365を活用。高層ビルのエレベーターや航空宇宙関連機器などの数100万種の製品を製造するUnited Technologies(UTC)では、Dynamics 365とAzureを使用して、顧客ニーズの予測と対応力を高めることに成功。Chevronは、油田情報をインテリジェント化し、コスト削減や運用の安全性と信頼性の向上を目指すためにAzureを主要クラウドに採用したという。

 さらに、家庭向け水回り用品を提供するKohlerは、「Azure IoT」を使用して、Kohler Konnectブランドでコネクテッドホーム市場に参入。同様に、不動産業のCBREではAzure IoTを活用して、スマートビルディング市場に参入したことなどを紹介した。

 Azureを活用した事例は多岐にわたっており、前年同期比倍増という流れが続いている。想像以上に、Azureの利用範囲が広がっていることを示すには十分な内容といえるだろう。

 アルソフ氏によるブログが続くようならば、今後、日本における先進事例が紹介されることを期待したい。

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