連載
» 2018年04月13日 07時00分 公開

武闘派CIO友岡賢二のサムライ日記:情シスやエンジニアをコミュニティーに放流しよう! (1/2)

中世のお城のような高い塀の中に情シスやエンジニアを囲い込んで、外の世界から断絶させていたのでは、視座が下がり視野は狭くなる一方です。

[友岡賢二,ITmedia]

この連載は

改革派CIOとして知られるフジテックの友岡賢二氏が、変化の時代に生きるIT部門、情報システム部門の仲間たちを叱咤激励する連載です。改革に疲れた心を奮い立たせ、変革の時代に正しい選択をするための情報を発信します。


 先月、ちょっと変わったイベントに参加しました。名だたるネット企業10社の情シス責任者が、フリースタイルでこれまでの社内改革の取り組みや課題を紹介し、2018年の計画を発表する社内IT施策共有会です。

 登壇企業はリクルートテクノロジーズ、メルカリ、楽天、ヤフー、グリー、LINE、クックパッド、DMM.comラボ、ミクシィ、ディー・エヌ・エーの計10社。ディー・エヌ・エーの経営企画本部 IT戦略部で部長を務める成田敏博さんの呼びかけで実現したそうです。この10社はいわばライバル企業ともいえるわけですが、“社内システム”という競合しない領域でのみ互いに情報を共有し、業界内のIT施策の底上げを図ろうというのです。なかなか粋な取り組みだと思いませんか?

 会場のディー・エヌ・エー本社入口に飾られた青いユニフォームを見ただけで、赤い血が燃えたぎるような興奮を覚えた熱血広島カープファンの私ですが、勉強会の会場はさらなる熱気に包まれ、今をときめく人気企業の個性的な情シス責任者の方々の発表に酔いしれたのでした。

Photo 会場の様子。エンタープライズ系企業の情シスも詰めかけ、活気あるイベントとなった

 イベントにはゲストとしてエンタープライズ系企業の情シス責任者も招かれ、皆、熱心に耳を傾けていたのが印象的でした。会場を見渡して興味深かったのが、エンタープライズ系情シス責任者が堅苦しいスーツを身にまとい、一方の登壇企業の皆さんは自由なTシャツスタイルと、すでにこの時点で“勝負あった感じ”できれいに分かれていたのですが、懇親会ではそうした「東海岸」と「西海岸」のカルチャーが交じり合う美しい光景が広がっていました。

 「東海岸」の住民である私から見た「西海岸」の風景は、なかなか興味深いものでした。“クラウド利用が当たり前”の彼らには、クラウド化が課題として存在しないという「当たり前のレベルの差」への驚き、息をするように自然にSlackを使いこなすカルチャーへの憧れ、WorkdayやServiceNowといったSaaSをさらりと活用する軽やかな身のこなし、開発マシンの最新化はエンジニアへの投資でありモチベーションアップに不可欠であるというエンジニアオリエンテッドな気質はまさに、西海岸らしいといえるでしょう。

 その一方で、業務系システムの整備が追いつかず、「Excel ERP的なマニュアル作業」が残る現状や、そこをRPAという力技でねじ伏せようとするエンジニアとしての腕力の強さ、物販がないバーチャルな世界ではやっていけても、ひとたび物販が始まったら、途端に在庫管理や調達プロセスで苦労しそうに見える「体幹の細さ」も感じました。

 そう考えると今回のイベントは、「イケてる西海岸」から「変わらない東海岸」に新たなイノベーションのそよ風を吹き込むだけでなく、日本のモノづくりカルチャーを背骨に持つ、伝統ある「東海岸」から若々しい「西海岸」に、グローバル化やそれに伴う組織マネジメント、ガバナンスといった経験知をフィードバックできるような交流につながっていくように思いました。

 こうして考えると今回のイベントは、これまで交流がなかった「西海岸」と「東海岸」を結ぶ、新しいコミュニティーの姿を見た思いがしました。

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