その固有業務は本当に必要なのか――。クラウドサービスの普及で、これまでの常識が変わりつつあるようだ。この問題を考える格好の発表会見が先週あったので、今回はこの話題を取り上げたい。
SAPジャパンが5月17日、タレントマネジメントから給与計算、労務管理まで人事の全領域をカバーするSaaS型クラウドサービス「SAP SuccessFactors HCM Suite」を国内で提供開始すると発表した。
SAP SuccessFactorsは、かねてタレントマネジメント・ソリューションとして日本でも広く利用されているが、今回それに、日本市場に適応した給与計算と労務管理機能を追加し、スイート製品として人事の全領域をカバーした「業界唯一のクラウドソリューションを提供したい」(SAPジャパンの稲垣利明バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部 本部長)としている。
稲垣氏は日本企業の人事部門を取り巻く環境について、「人手不足、働き方改革、多様性といった時代の変化とともに、経営のグローバル化への対応も迫られている」とし、「これまで経験したことのない激変の時を迎えている」との認識を示した。(図1)
今回の新サービスは、こうした背景を踏まえて日本市場に適応した機能も盛り込み、進化したクラウドサービスとして、人事給与業務の運用コスト削減、人工知能(AI)を使った業務の自動化、蓄積されたデータの活用による効率的な人材育成など、一歩進んだ人事改革が可能になる、としている。(図2)
SuccessFactorsは、もともと製品と同名の企業として2001年に米国サンフランシスコで創業し、日本でも2009年からサービスを提供。2012年にSAPが買収し、同社が持つ人事給与業務のノウハウを統合する形で今回の新サービスが誕生した。ちなみに、SAP SuccessFactorsは現在、世界で6400社が利用しているという。
稲垣氏は今回の新サービスにおける2018年の注力ポイントとして、「人事業務のフルクラウド化」「グローバル展開の支援」「エコシステムの強化」を挙げ、「経営をリードする人事に攻めと守りの武器を提供していきたい」との思いを語った。
今回の新サービスの詳しい内容については、発表資料をご覧いただくとして、ここからは、企業がクラウドサービス導入によって業務改革をどのように推進すべきかについて、今回の新サービスに当てはめて考えてみたい。
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