三井不動産の大企業向けビジネス共創支援プログラムに、日本マイクロソフトが「Microsoft 365」を提供すると発表した。企業内起業家(イントレプレナー)の支援に活用するとのことだが、どのような使い方をするのだろうか。
日本マイクロソフトは2018年5月28日、三井不動産が電通およびEY Japanと連携して6月18日に開始する大企業向けビジネス共創支援プログラム「BASE Q イノベーション・ビルディングプログラム」に、公式コラボレーションツールとして「Microsoft 365」を提供すると発表した。
BASE Q イノベーション・ビルディングプログラムは、大企業で外部のベンチャー企業と連携して新規事業を立ち上げる、いわゆる「企業内起業家(イントレプレナー)」を支援するのが目的だ。「東京ミッドタウン日比谷」のビジネス創造拠点「BASE Q」を運営拠点に、参加者へのコンサルティングやセミナーの開催、協業可能な他社とのマッチング、情報交換のためのイベント運営などを行う。
同プログラムでは、「Microsoft 365」を公式コラボレーションツールとして認定した。イントレプレナーと提携先のベンチャー、BASE Qの3者間で行うあらゆるコミュニケーションや業務を一括支援する。例えば、グループチャットソフトウェア「Microsoft Teams」を使ったチャットや電話、ビデオ会議の他、音声認識機能を使った議事録の作成やリアルタイムのチャット翻訳。「Microsoft SharePoint」を使ったドキュメントの共有やコラボレーション、プランナーの共有、さまざまな業務アプリとの連携などが可能だ。
今回のツール提供が実現したきっかけの1つに、Microsoft Teamsで他社同士のコミュニケーションが可能になった点がある。もともと社内コミュニケーション向けだった同ツールに、2018年3月から「外部ユーザー招待機能(ゲストアクセス)」が加わり、外部のMicrosoft 365ユーザーを招待できるようになった。
「新機能を使って他社同士のコラボレーションを促進する機会を探していたところ、BASE Qとの連携が決まった」と、同社でMicrosoft 365ビジネス本部長を務める三上智子氏は話す。この他、既に大企業が取得して使わずにいるMicrosoft 365の活用を進めさせたいという狙いもあるようだ。
BASE Qの運営責任者を務める三井不動産の光村圭一郎氏によれば、Microsoft 365が機械学習を活用した統合管理型のセキュリティ機能を備える点も、選定のカギになった。「大企業では、セキュリティを理由にメールでのコミュニケーションを多用する傾向がある。一方で、イントレプレナーには、高いレベルのセキュリティを担保しつつ、リアルタイムで重要な情報をシェアできるツールが必要だと考えた」と、同氏は話す。
三井不動産は今後、同プログラムを通じてイントレプレナーの支援を進めるという。
「新しい事業アイデアを形にする作業には、不確定な要素が多く、その分時間を消費する。生産性の高いツールを使うことで、無駄な作業や手間に費やす時間を減らし、時間をかけるべき作業にじっくり集中できる環境を作りたい。また、柔軟なコラボレーションを進めることで、既存の仕組みにとらわれがちな大企業の意識も改革していきたい」(光村氏)
日本マイクロソフトは、Microsoft 365の提供だけでなく、イノベーションに役立つ情報提供や技術体験の場を積極的に提供したい考えだ。
「柔軟な発想で新規事業に挑むイントレプレナーを支援することで、テクノロジーの新たな活用法を増やしてきたい」(三上氏)
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