こうした“ファイル消失事件”を受けるまでもなく、これまでよりもサポートサイクルが短くなったWindows 10では、PCの運用方法を変えざるを得ない面があります。それは組織が大きいほど、大きな労力を伴うでしょう。
もちろん、これは日本だけの問題ではありません。グローバルでもさまざまな反応があったのでしょう。Microsoftは、2018年9月6日にWindows 7のサポート延長(Extended Security Update)を発表しました。しかし、コストと生産性という、ビジネスにとって基本的な視点で考えても、Windows 7を延命させるメリットは一切ないと言っても過言ではありません。
コンサルティング企業のノークリサーチは「サポート延長は中小企業向けではない」という見解をすぐに発表しましたが、全くもってその通りだと思います。皆さんもぜひご一読ください。むしろ大企業においても、サポート延長が有効に働く企業はそう多くないと考えています。
そもそも日本では、OSの調達をPCとともに行う、いわゆるOEMライセンスを採用している企業がほとんどですが、このライセンスでは延長サポートは受けられません。ESUを使いたい場合は、ボリュームライセンスでOSを買い直す必要があります。それに加えて、年々上がっていく(といわれている)サポート費用を負担する必要があるなど、コストが膨れ上がる可能性は高いです。決して、安易に飛び付かないでください。
私が考えるに、このESUはいたずらにWindows 7の延命を狙ったものではありません。何よりMicrosoftがそんなことを良しとするわけがないのです。では、一体同社はWindows 7の延命に対して、どう考えているのでしょうか。
それは、同社が2018年9月に開催した年次カンファレンス「Ignite」で発表した「Windows Virtual Desktop(WVD)」がカギを握っているのです。
Windows Virtual Desktopは、同社のクラウドインフラ「Microsoft Azure」上で使える仮想デスクトップ環境(VDI)です。同社は従来、VDIと一定の距離を置いていました。僕が見聞きする限りでは、VDIを推奨していることはないと思います。
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