日本のIoTビジネスは、ここ数年でどれほど進んでいるのか。全国に8拠点を構え、2019年2月に3周年を迎える団体「IoTビジネス共創ラボ」の関係者たちが、これまでの軌跡を語った。
この数年間、ネットワークにつながるデバイスやデータの量は増え続けている。「あらゆるものがネットワークにつながる」という意味の用語「モノのインターネット(IoT)」が普及し、企業が生産や販売などのプロセスでデータを収集、分析する事例も増えてきた。
そのような中、日本のIoTビジネスは、ここ数年でどれほど進んでいるのか。そのヒントを示してくれるのが、2019年2月に3周年を迎える団体「IoTビジネス共創ラボ」だ。2019年1月22日、日本マイクロソフトが開催したイベント「IoT in Action」に同団体から参加した関係者たちが、これまでの活動の軌跡を語った。
IoTビジネス共創ラボは、日本におけるIoTビジネスの普及と拡大を目的に、2016年2月に発足。先進的な事例やIoTプロジェクトの共有、「Microsoft Azure」を活用したIoTソリューション開発の支援、IoTを扱う技術者の育成支援などを行っている。
東京エレクトロン デバイスを幹事、日本マイクロソフトを事務局として、当初からアクセンチュアやソフトバンクロボティクスなどの10社が参加。2016年には「東京」の1拠点だけだったが、2017年から2018年にかけて、地方の拠点を次々と増やしてきた。現在は、各地のIoTニーズに応えようと、地元企業を中心に「ふくしま」「北海道」「中部」「かわさき」「柏の葉」「石川・金沢」「みやぎ」を合わせた8拠点を構える。
会員規模も順調に成長している。東京エレクトロン デバイスの福田良平氏は、「当初は、100社、100人ほどの会員を目指していました」と話すが、現在、同団体には全国で556社、775人の会員が参加している。
予想以上に会員が増えている理由について、福田氏は、「やはり、(最近は)IoTへの関心が非常に高いためではないか」と語る。
また、団体の中で活動するワーキンググループも、新技術の登場によって様相を変えてきた。発足当初は「製造業」「物流・社会インフラ」「ヘルスケア」に、ビジネスインパクトをもたらすIoT活用を検討する「ビジネス」、データの分析や活用に特化した「分析」を加えた5つのワーキンググループがあった。現在はそこに、ソフトバンクのロボットである「Pepper」をはじめ、「ドローン」、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)など一連の3D技術を集めた「xR(Cross Reality)」の3つが加わっている。
同団体では現在、「地元の困りごとをIoTで解決する」というスタンスで会員企業や地元企業が持ち込んだプロジェクトを進めており、各拠点で自治体と連携しつつ、交流の幅も広げているという。例えば東京では、日本マイクロソフトの品川オフィスを会場に、3カ月に1回のペースで定期的に勉強会を開いている。
では、実際にこの3年間、同団体は全国でどのような「困りごと」に取り組んできたのか。
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