「IoTビジネス共創ラボ」発足、日本マイクロソフトら10社が参加――「1年で100案件創出目指す」

日本マイクロソフトら10社が、IoTビジネスの普及と拡大を目的とする「IoTビジネス共創ラボ」を発足。先進事例の共有やIoTプロジェクトの共同検証を行う。目指すはITとOTを融合する“緩やかな”組織だ。

» 2016年02月09日 19時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 日本マイクロソフトは2月9日、東京エレクトロン デバイスと協力し、IoTビジネスの普及と拡大を目的とする「IoTビジネス共創ラボ」を発足したと発表した。アクセンチュアやブレインパッドなどを含めた10社が参画。1年以内に100社の加盟を目指すという。

 共創ラボでは、先進事例の共有やIoTプロジェクトの共同検証を行うほか、IoT向けのスキルを持つ技術者の育成、Microsoft AzureをベースにしたIoTソリューションの開発促進を行っていく。

 IoTプロジェクトの共同検証については、製造業、物流・社会インフラ、ヘルスケアの3つの産業分野に加えて、ビジネスインパクトのあるIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ」、収集、蓄積したデータを分析、活用する「分析ワーキンググループ」という5つのワーキンググループに分かれて活動する。

photo 「IoTビジネス共創ラボ」に参画する10社の代表。日本マイクロソフト、東京エレクトロン デバイスのほかに、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの8社が参加する

IoT導入の3つの課題

 発表会で登壇した東京エレクトロン デバイスの八幡浩司氏は、「成長の鈍化したICTにかわってIoTがIT市場をリードする」とした上で、日本における企業IoTの導入課題が浮き彫りになっていると指摘。その課題は3つに分かれるという。

 まずはセキュリティの問題だ。今まで工場や店舗の中で閉じていたデータを、外に出すこと自体をリスクだと考える企業は多いという。2つ目は、ステークホルダーが増えることで、投資対効果が見えづらくなり、投資の判断がしにくくなること。そして最後に、開発者にクラウドや組み込みといった分野の知識やスキルが不足している点も課題に挙げた。

 こうした課題を解決すべく、IoTビジネス共創ラボの事務局を務める日本マイクロソフトは短期間かつ小規模な導入を支援する「Azure IoT Suite」の提供や、無償での技術トレーニングを実施するという。これに加えて、イベントやセミナーでの周知活動、パートナーとのマッチングといった活動を行い、「1年以内に1万人の技術者を育成し、100案件を創出する」(日本マイクロソフト 代表執行役 会長 樋口泰行氏)としている。

photophoto 東京エレクトロン デバイス IoTカンパニープレジデント八幡浩司氏(左)。日本マイクロソフト 代表執行役 会長 樋口泰行氏(右)。樋口氏は「IoT分野で出遅れたかもしれないが、マイクロソフトにとって“後出しじゃんけん”は得意中の得意の戦略」と語り、会場の笑いを誘った

ITとOTを融合する“緩やかな”組織

 IoTのためのクラウドプラットフォームは、Microsoft Azureだけではなく、AWSやSalesforce.comなどもある。日本マイクロソフトをパートナーに選んだ理由について、東京エレクトロン デバイスの八幡浩司氏は「マイクロソフトは組み込み系でデバイステクノロジーの進化に携わってきた。IoTに必要なあらゆるモジュールを持っている」と説明。デバイスからクラウドまで、全てを提供している点や実績を評価したという。

photo 日本マイクロソフトはデバイスからクラウドまでをカバーするさまざまなソリューションを持っているのが強みだという

 日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 本部長の佐藤久氏は「IoTビジネス共創ラボ」は“囲い込み”ではないと強調する。

 「IoTビジネス共創ラボはデバイスサイドの制御システム(OT)とクラウドをはじめとする情報システム(IT)が融合することがキモといえる。今やITだけでもOTだけでも業界は盛り上がらない。両者が融合してこそ新たな価値が生まれる。業界を盛り上げる仲間を増やしていくというイメージだ」(佐藤氏)

photo IoTビジネス共創ラボの活動目標

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