インターネットに接続されるデバイスは増え続けており、さまざまな企業が自社のビジネスをどうIoTに対応させるか、対策を迫られている。シスコでIoT関連のコンサルティングを手掛ける八子氏によると、ビジネスにIoTを適用するための考え方やフレームワークがあるという。
あらゆるデバイスがネットワークにつながる「IoT(Internet of Things)」時代に際し、企業はどう対応すればいいか――。そんなテーマが叫ばれて久しいが、IoTをビジネスに生かすとなると、本格的に取り組んでいる企業はまだ少ないのが現状だろう。
「現在、世界中で250億個のデバイスがインターネットにつながっており、毎日2エクサバイト(1エクサバイト=1000ペタバイト)のデータが生成されていますが、そのうち活用されているのは5%程度にすぎず、残りは使われないまま捨てられています」
こう話すのはシスコシステムズの八子知礼氏だ。八子氏は、データを活用できないのは“モノだけ”がインターネットにつながり、人や業務プロセスとの連携がないためだと主張する。
「例えば、午前中に売れた商品の情報を、新たな商品の企画・開発、機能の決定といった“次の施策”につなげているかと聞けば、そこまでの取り組みを実現しているところは少ないはず。リアルタイムな状況把握と施策がつながってはじめて、価値が生まれるのです」(八子氏)
シスコシステムズの調査によれば、IoT(IoE)による経済価値は全世界で1440兆円にのぼるという(2013年からの10年間)。日本においては76.1兆円の効果が生まれると考えられており、巨大なビジネスチャンスが潜んでいるといえる。中でもスマートファクトリーの経済価値が13.9兆円と高く、「モノづくり大国の日本では、ビジネスチャンスを得られるのはやはり製造業だろう」と八子氏は話す。
同社のコンサルティング部門にいる八子氏自身も、さまざまな企業とIoTへの取り組みを協議してきたが「経営者やCIOクラスでも、どのようにIoTに取り組めばいいのかイメージできない人がほとんど」という。そこでシスコでは、既存ビジネスとIoTを融合した新ビジネスを考えるためのフレームワークを使って提案をしているそうだ。
そのフレームワークとは、縦軸に人・プロセス・データ・モノ(設備)という4つのレイヤーを並べ、横軸にIoTを活用したい業務やバリューチェーンを並べるというものだ。マッピングすることで、各業務やレイヤー間で連携できていない部分や課題が浮き彫りになり、解決の方法を考えることで、新しいビジネスや施策につながると八子氏は話す。
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