データが変える、クルマの未来とIoT(1/2 ページ)

すべてのモノがネットワークにつながる“IoT”時代、それは自動車も例外ではない。現在も通信機能を持つクルマ、いわゆる“コネクテッドカー”の普及が進みつつある。インターネットにつながる「未来のクルマ」とは、どのようなものなのだろうか。

» 2015年03月25日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]
photo Volvo Cars ビジネスディベロップメント&ストラテジー、コンシューマーITサービス ディレクター ヨナス・レンクヴィスト氏

 人間の移動手段として進化してきたクルマは、今やIT機器の一種になりつつある。車載情報機器を始め、車内のさまざまなセンサーがインターネットにつながり、スマートデバイスと連動する、いわゆる“コネクテッドカー”の普及が進んでいるためだ。

 あらゆるモノがネットワークにつながる「IoT(Internet of Things)」時代を控え、ITベンダーのみならず、自動車メーカー各社もこのコネクテッドカーや自動運転技術の開発を急いでおり、富士経済からは「2025年には世界で6547万台、日本でも954万台がコネクテッドカーになる」という予測も出ている。

 スウェーデンの自動車メーカー、Volvo Cars(ボルボ)も積極的にコネクテッドカーの開発に取り組む企業の1つだ。同社は「2020年までに新しいボルボ車での死者や重傷者をゼロにする」というビジョンを掲げて自動運転技術の開発を進めている。コネクテッドカーで自動車業界はどう変わるか、そして新しいクルマの形とは――。同社のコンシューマーITサービスを統括するヨナス レンクヴィスト氏が日本テラデータの年次カンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2015」で、クルマの未来について語った。

クルマの“IT化”と“サービス化”が開発を変える

 レンクヴィスト氏によると、2000年ごろに比べてクルマのIT化は大きく進み、複雑になったという。1998年に登場したS80(初代)に搭載していた車載コンピュータは19個だったが、最新型の車体には108個のコンピュータを搭載している。

 現在では、タッチパネルを備えたスマートフォンやタブレットのように操作できる車載情報機器も登場し始めており、2015年5月に発売を予定している新型SUV「XC90」には大型のタッチパネルを備えた車載情報機器を搭載するという。同氏は「今のユーザーは車載情報機器にスマートデバイスのような機能とインタフェースを求め始めている」と話す。

photo 2015年5月に発売を予定しているボルボの新型SUV「XC90」(出典:Volvo Cars)

 こうしたテクノロジーの進化は、自動車の開発にも大きな影響を与えるという。「技術トレンドが変わるにつれて、自動車への見方も目まぐるしく変わる。自動車の開発は構想から販売まで5〜6年かかることが多いが、その間にユーザーのライフスタイルは大きく変わるはずだ。クルマ以外のトレンドをどう自動車にフィードバックするかが重要になる。われわれはクルマのデザインは得意だが、ITについては学ぶことが多い」(レンクヴィスト氏)

 また、クルマが通信機能を持つことで、移動手段という役割に加え、アプリを通じてサービスを提供するマシンという性格が強まる。このクルマの“サービス化”も商品の提供形態に大きな変化を与えるそうだ。

 XC90では車載システムのソフトウェアをクラウド経由でアップデート可能としており、「今後はユーザーがクルマを手放すまで、常に機能をアップデートできることがサービスとして必要になるだろう。2020年に生まれた自動車が、2030年にもちゃんと対応できることが大切だ」とレンクヴィスト氏は語る。

photo ボルボは車内で使えるさまざまなサービスを提供している
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