ハードルが高い“農業×IoT”を、もっとカンタン、手軽に――。そんな思いから生まれた“21世紀のITかかし”が注目を集めている。このソリューションは、人手不足、後継者不足に悩む農家の救いになるのだろうか。
ハードルが高い“農業×IoT”を、もっとカンタン、手軽に――。そんな思いから生まれた“21世紀のITかかし”が注目を集めている。農業のIT化に必要なセンサーやネットワーク、情報確認用のダッシュボード、作物の栽培情報をパッケージ化した「e-kakashi」がそれだ。
このソリューションは、人手不足、後継者不足に悩む農家の救いになるのだろうか。
日本の農業は課題が多い――。こう話すのは、e-kakashiの開発を手掛けたPSソリューションズの山口典男氏だ。農業従事者の高齢化や後継者不足に加え、最近では異常気象による気候の変化が農家の負荷を高めている。
こうした不安定な環境下で、安全性や品質に定評がある日本の農業を維持し、発展させ、次世代に引き継いでいくためには、ITを使った効率化が不可欠、というのが山口氏の考えだ。
e-kakashiは、これまでベテラン農家が培ってきた勘や経験を数値化して“栽培レシピ”をつくり、ITの力で農業を効率化しようというもの。製品は田んぼや畑に設置するe-kakashiの子機と、子機で集めたデータをクラウドに送信する親機、収集したデータの分析結果をPCやスマホでチェックするためのダッシュボードサイトで構成される。
ITに詳しくない人でも簡単に導入できるのが大きなポイントだ。e-kakashiの子機は、必要なセンサー類を背面ポートに差し込んで電源を入れ、田畑に設置すれば定期的にセンサーデータを親機に送信し始める。センサーは温湿度、日射、土壌水分、多点温度に対応したものを用意。親機の電源を入れればセンサーデータがモバイル回線を通じてクラウドに送信される。農業従事者は田畑の情報をPCやタブレットのダッシュボードで確認し、栽培レシピに従って農作業を行えばいい。
ベーシックな栽培レシピに、地域ごと、農家ごとの知見を反映させられるのも面白い。例えばベテラン農家のスキルやテクニックをレシピ化すれば、農業の初心者でも質の高い農作物の作り方を短期間で習得できるようになる。これは後継者の育成につながるほか、栽培レシピの販売という新たなビジネスの可能性も出てくるだろう。
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