2018年に全社員の仮想化デスクトップ環境を「NVIDIA GRID」で刷新したハーゲンダッツジャパン。情シスの竹下新一さんによれば、それは5年前に行った仮想化の手痛い失敗から学んだ結果だという。
高級アイスクリームブランド「ハーゲンダッツ」の日本支社であり、全国のコンビニやスーパーに商品を展開するハーゲンダッツジャパン。ユニークなテイストの新商品を精力的に発表する同社だが、実は社員が出張先や自宅からでも仕事ができる環境を作ろうと、全社でVDI(仮想デスクトップインフラ:Virtual Desktop Infrastructure)を導入していることをご存じだろうか。
そのハーゲンダッツジャパンは2018年、従来のVDIを、“当初予定していたよりも早く”刷新した。同社で情報システム部のマネージャーを務める竹下新一氏によれば、決断のきっかけは、ある日情シスの席まで駆け寄ってきたマーケティング担当者の一言だったという。
「新商品のWeb動画が動きません!」
当時、新商品「塩キャラメルマカデミア」を発売したばかりだった同社は、自社のWebサイトで、画面の奥からアイスが飛び出してくる動画を使ったプロモーションを行っていた。ところが、当時のVDIのスペック不足が原因で動画が固まってしまい、“飛び出してくるはずのアイスが出てこない”状態になってしまっていたのだ。
一体、なぜこんなことが起こったのか。同社では、「社員が出張先や自宅からでも仕事ができる環境を作りたい」という目的の下、2014年に全社員のデスクトップ環境を仮想化した。現場から「どこでも仕事ができる」と好意的に受け入れられはしたものの、「Webやアプリの動作が遅いことがある」という苦情が出始めた。一方の情シスは、そうしたトラブル対応に追われつつ、VDI導入に対する“準備不足”を痛感していたという。
「導入前に社員がPCを使う様子をモニタリングする案もありましたが、コストがかさむため、断っていました。その代わりに情シス側で『一般ユーザー』『ヘビーユーザー』の2パターンを想定し、それぞれ必要なリソース量の仮説を立てていたのです。
しかし、導入後に現場を調査すると、『Office 365』のExcelやPowerPointのブラウザを一度に20個余り開いて作業する社員など、想定を超えるヘビーユーザーがいることが分かりました。その時点で用意していたリソースでは、到底足りないことが明らかになったのです」(竹下氏)
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