デジタル時代の競争力は「ポストモダンERP」の活用がカギに――ガートナー、ポストモダンERPのハイプサイクルを発表

ガートナーでは、日本のERP市場は変革期を迎えており、AI、IoT、インメモリ、クラウドなどの新興テクノロジーを取り込んだ“次世代ERP”として「ポストモダンERP」の活用が進むと分析する。デジタルビジネス時代の企業の競争力は、ポストモダンERP環境にかかっているという。

» 2019年02月12日 12時35分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 ガートナー ジャパンは2019年2月7日、「日本におけるポストモダンERPのハイプ・サイクル:2018年」を発表した。

 今回のハイプサイクルでは、日本の関連市場に大きな影響を及ぼすと考えられるERP関連の主要なキーワード(テクノロジー、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど)を、それぞれの期待度と成熟度(時間の経過)の関係を相対的に位置付けた。

 ガートナーが定義する「ポストモダンERP」とは、クラウド、AI(人工知能)、IoT、インメモリなどの新興テクノロジーを取り込んだ“次世代ERP”のこと。

 ガートナーによると、現在、国内のERP市場は新たな変革期を迎えているという。1990年代以降に一般的だったオンプレミス型で“モノリシック(一枚岩的)”に業務システムを統合・集約する統合基幹業務システムスイートに代わり、クラウドを含む複数のアプリケーション群を“疎結合”で連携するスタイルで、ポストモダンERPを活用する動きが進むと分析する。

Photo 日本におけるポストモダンERPのハイプサイクル:2018年(出典:ガートナー 2018年9月)

ガートナーのハイプサイクルは、新しいテクノロジー、サービス、方法論などが、登場してから市場に受け入れられるまでの成熟化の過程を、(1)市場に登場した直後は期待が急上昇する「黎明(れいめい)期」、(2)期待に見合う成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされる「『過度な期待』のピーク期」、(3)熱狂が冷めると期待が一気に幻滅に変わる「減退期」、(4)減退期を乗り越えてあらためて市場への浸透が進む「啓蒙(けいもう)活動期」、(5)成熟したテクノロジーとして市場に認知される「生産性の安定期」の5段階のどこに位置するかで示している。

 ポストモダンERPが求められる背景には、ベンダーロックインや“重厚長大”なERPスイート運用の過度な負担を回避する意図に加え、デジタルビジネスや働き方改革に代表される昨今の新たなビジネスニーズや就労環境への対応があるという。

 過剰なカスタマイズを伴うオンプレミスのモノリシックなERPでは、保守コストがかさむ上、展開や変更に多くの時間を要し、ビジネスの求めるスピードに追随できない。そこで、クラウド、AI、インメモリ、IoTといった新興テクノロジーをERP戦略に取り入れ、複数のアプリケーションが緩やかに連携する形へと発展させることで、変化し続けるビジネス要件に対応しようという動きが目立つようになってきたと分析する。

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