9月14日、NTTドコモがiモードFeliCa端末(おサイフケータイ)向けの新機能「トルカ」を発表した(9月14日の記事参照)。2005年の冬モデル、FOMA 902iシリーズからの投入が予想される。
トルカの詳細はレポート記事に譲るが、この新機能は、対応端末をリーダー/ライターにかざすと、自動的にクーポンや店舗情報などのコンテンツが、携帯電話内の専用フォルダに取り込まれるというもの。リーダー/ライターから転送される情報量には限りがあるが、サイト連携やアプリ連携を行う事で、追加コンテンツアクセスの“トリガー”にすることができる。
筆者がトルカで注目しているのが、今後のドコモ製おサイフケータイに「プリインストール」されるという点だ。端末側に専用フォルダを作るなど、UI面でも使いやすさを重視している。
察しのいい読者ならお分かりだと思うが、トルカに類似するサービスはすでに存在する。今年8月にURAHARA.ORGとNTTドコモ、テックファームが共同で行った「裏原宿活性化計画」だ(8月3日の記事参照)。東京・裏原宿の約300店舗に展開し、店舗情報の提供やクーポン配布が行われるという試みで、テックファームの「TOWNPOCKET」というソリューションが使われている。
裏原宿活性化計画とトルカの大きな違いは、前者がテックファームのFeliCaアプリ「TOWNPOCKET」をユーザー自身でインストールしなければならないのに対して、後者が902i以降のドコモ製おサイフケータイの“標準機能”として誰もが使えるという点だ。
本コラムでも繰り返し述べているが、おサイフケータイの課題のひとつが、利用時の要求リテラシーの低さに対して、初期設定のハードルが高すぎるというものだ。おサイフケータイには“かざす”という万人向けの使いやすさがある一方で、初期設定には携帯電話コンテンツ/アプリの導入・利用リテラシーが必要であり、ここに乖離がある。
しかし、トルカのように“端末側機能”として用意されたサービスならば、初期導入のハードルが低い。さらに専用フォルダで情報の仕分けをする点も、使いやすさを向上する。これは利用者を増やす上で大切なことだ。
今回、発表されたトルカを見てみると、ドコモがおサイフケータイのUIを改善し、「誰もが使えるインフラ」にしようとしているのがわかる。おサイフケータイの強みはFeliCaアプリによる柔軟性にあるが、そこがリテラシー上のハードルになるのならば、共通化できる部分は端末側機能として改善する。このあたりのバランス感覚が、ドコモは優れていると思う。次のステップでは、情報配信だけでなく、FeliCaアプリの導入・初期設定のハードルも改善して欲しい。
また、店舗側から見れば、トルカは「おサイフケータイの基本機能」としてドコモ以外のおサイフケータイユーザーにも使ってもらいたいはず。早い段階でのau・ボーダフォンのトルカ対応にも期待したい。
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