PSA(ぴーえすえー)情報システム用語事典

professional services automation

» 2003年02月28日 00時00分 公開

 ソフトウェア開発やシステムインテグレータ(注1)、ITコンサルティングといったITサービス提供事業者(PSO:professional services organizations)が、その経営資源としての人材や知的資産などを管理し、生産性と顧客満足度の向上を目的とする統合ソリューション、またはそのためのソフトウェア。ITサービス業以外にも、高度な専門知識とスキルが要求される建築設計・法務・会計監査・医薬品など幅広い分野で活用され始めている。

 ソフトウェア製品としては、機会管理(注2)、プロジェクト管理、人材およびそのスキルの管理を行うリソース管理、プロジェクトの発生から完了までの間のタスクや情報、成果物を管理する成果管理(delivery management)などの機能からなり、さらにプロジェクト会計や収益やコストの最適化シミュレーション機能、ナレッジマネジメント機能(注3)など多くの領域を含む場合もある。

 PSAという言葉は、1990年代後半にこうしたソフトウェアの主要ベンダであるNiku Corporationなどによって広められたとされる。ただし、近年同社は自社のソリューションをSRM(services relationship management)と呼んでいる。このほか、SPO(service process optimization)と呼ぶベンダもある。

 従来、システム開発などを行う場合、“プロジェクト・マネージャ”の経験や勘、人脈などの属人的な部分に依存するところが多かった。しかし、プロジェクトの巨大化、複雑化が進行し、人間がこれを管理することは不可能となってきた。例えば大規模なシステム開発であれば、プロジェクトは分割されて下請け、孫請けに出されたり、派遣エンジニアや在宅勤務のエンジニアが参加するといったことも珍しくない。

 PSAはプロジェクト管理ソリューションが進化したものといえ、社内外のリソース(開発会社/個人のエンジニア)管理を行う。これは開発会社やエンジニアによる作業の進ちょく管理を行うだけではなく、そのリソースがどのようなスキルや特徴があるかを把握し、利用した場合にコストがいくらかかるか、ほかのプロジェクトでふさがっていないか、最適なリソース配分はどうするべきかなどを一元的に管理できるようにするものだ。Webインターフェイスが用意されているソリューションであれば、プロジェクトメンバーが異なるロケーションにいても、情報共有が可能となる。

 また“管理”以外に、プロジェクトに適したリソースを幅広く調達・マッチングするという部分が視野に入っている点もPSAソリューションの特徴の1つである。

 もともとPSAはサービスサプライヤ、すなわちシステム開発であれば元請のシステムインテグレータなどが、アウトソースのコスト管理などを行うためのソリューションだったが、直接の発注企業にとっても適した委託業者と出会い、またコスト削減を達成する手段として期待できる。また一方で、ITコンサルティング会社やシステムインテグレータ、人材派遣会社、その下請け各社などの受注側においても、受注機会の拡大やスタッフの満足度向上といったメリットがあり、将来的にはサービスのサプライチェーンともいうべき、企業間の連携が促進されて、新たな産業システムが生まれるのではないかとも期待されている。

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