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» 2005年01月08日 12時00分 UPDATE

企業システム戦略の基礎知識(2):短期決戦を戦うシステム開発体制を作れ! (1/2)

今日、情報システムは短期導入が求められるようになっている。それを実現するためのユーザー側の体制とはどのようなものか? その“本質”を見ていこう

[青島 弘幸,@IT]

 最小の投資で、最大の効果を生む情報システムを構築するのであれば、短期決戦が良い。長引けば、それだけ投資も大きくなりがちであるし、効果を生むのが遅くなりロスが出る。前回の「ITの本質」でも述べたように、情報システムはそれ自体で利益を生むものではない。使ってこそナンボのものである。開発期間の長期化により、このことを忘れ、手段が目的化してしまったプロジェクトは悲惨な結果を招く。船長のリーダーシップと目的を見失った船は、荒海を迷走するのみである。それでは、短期決戦を戦うシステム開発体制とは、どんなものであろうか。

明確なビジョンを定める

 情報システムを構築するうえでは、とにもかくにも“ビジョン”が必要である。

 目的地を決めずにフラリと出掛ける旅行は楽しいものだが、システム構築においては絶対にやってはならない。ところが意外にこのように、何となく世情に流されてプロジェクトを始めてしまい、途中で迷走しているケースが少なくない。趣味で作るソフトウェアならそれでも良いが、会社が競争を戦うための道具としてシステムを構築するのなら、その使用目的を関係者にはっきり示すべきである。しかし、次のようなシステム化方針や目的を“ビジョン”として掲げているケースも少なくない。

 「グループウェアを導入して、稟議書を電子化しペーパーレスを図る」

 これのどこが問題かといえば、ペーパーレス化という手段を目的にしてしまっているところだ。電子化やペーパーレス化といったキャッチコピーをそのまま受け売りして、自分たちが真に解決すべき問題を突き詰めていないのである。その結果、グループウェアを導入して稟議書を電子化したのはいいが、稟議のスピードアップはまったく図れていないという不満が出てきて、「ITは金食い虫だ」などというIT不信に陥ってしまうことになる。

 この場合、本来の目的は「稟議のスピードアップ」であり、電子化やペーパーレスは、その手段である。電子化やペーパーレスがなし得ることは連載第1回でも書いたように紙に比べ“時空の制約”が少ないため、伝達スピードが速いことや拡散性が良いことだ。従って、紙による持ち回りが問題であれば、グループウェア導入による電子化が効果的だ。しかし、そもそもの稟議ルールが複雑なために、内容の確認や判断に時間がかかっているなら、稟議ルールを簡素化してからグループウェアに乗せなければならない。複雑なままの稟議ルールを仮想空間に持ち込んでも、問題は解決されずスピードアップできないのだ。

 ビジョンは、プロジェクトの目的を明確にし、士気を高め、集中力を高める。最小の投資で最大の効果を生むためには、必須のものである。情報や情報技術を使って、何がしたいのか。その先には、いったい何があるのか。それが、ハッキリしないプロジェクトでは、ムダに時間と資金を浪費し迷走するだけで、とても最短コースを効率よく走ることなどできない。

分かりやすいプロジェクト名を付ける

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 このように決めたビジョンを、プロジェクトメンバーや内外の関係者で、共有し続けることが重要である。一部のメンバーがビジョンを理解しているだけでは、プロジェクトが迷走するリスクは大きい。システム構築では、1人のプログラマがビジョンを理解していないばかりに、プロジェクトがあらぬ方向に走ってしまうことも発生し得るのである。常に目的を念頭に置いて進むことで、メンバーが余計な回り道をすることなく、最小の投資・期間で効率よくシステム構築を進めることができる。

 この重要なビジョンを、確実にメンバーで共有するためには、プロジェクトあるいはシステムに愛称を命名するのが良い。ビジョンを的確に表現した愛称は、誰にも覚えやすく、いろんな場所・時点・メディアを通じて使われる。そして、自然に、それを口にする人々の中にビジョンが浸透していくのである。例えば、簡単・親切で・安全な登録システムということで、SAFE(シンプル・アンド・フレンドリ・エントリ)システムといった具合である。皆さんも、親しみやすく、ビジョンを分かりやすく表現した愛称を考えてみてはいかがだろう。

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