フリーアドレス・オフィス(ふりーあどれす・おふぃす)情報マネジメント用語辞典

free address office

» 2006年02月09日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 個人に固定席を割り当てずに共有席(デスク、設備など)を用意し、出社した従業員/ワーカーは空いている席を使って仕事を行うスタイルのオフィス形態のこと。

 外回りや出張などが多い部署、フレックスタイムや在宅ワークを採用している職場では、オフィスの座席数を社員数より少なくすることができるため、オフィススペースの利用効率を大幅に高めることができる。

 付随的メリットとして、個々人の書類の溜め込みなどがなくなり、デスク回りが整理されるといった効果が期待され、組織や仕事の変更などに対しても柔軟性を増すといわれる。ただし、個人で思考する仕事や資料を多く参照するような仕事では作業効率が低下したり、組織への帰属意識が弱まったりする場合があるとも指摘される。

 フリーアドレス・オフィスは、1980年代の終わりごろのバブル経済期に高騰するオフィス賃料の削減やOA機器設置場所の確保などを目的にした省スペース対策として登場した。大手企業の営業部門を中心に取り組みが進められたが、次第に各自の席が固定化したり(上級職の方が席を占有したがるという)、座席数の不足から席の取り合いが発生するなどもあって、当時フリーアドレスを導入した企業は制度を廃止している。

 その後、米国で“ノンテリトリアル・オフィス”の概念が登場し、またプロジェクト型業務の増加、フリーアドレス・オフィスの弱点を補うITソリューションの進展・登場などもあり、2000年代半ばになって再び導入が広がっている。客先で仕事をすることの多いコンサルティング・ファームのコンサルタント、システム・インテグレータのSEなどを対象としての採用が目立つ。

フリーアドレス・オフィスに利用されるITソリューションの例
基盤 無線LAN、IP-PBX、IPセントレックス
内線電話 携帯電話、PHS、IP電話、ソフトフォン
情報共有、スケジューリング共有 電子メール、グループウェア、インスタント・メッセージング、ファイルサーバ、文書管理システム
所在確認 プレゼンス(インスタント・メッセージング、IP電話)、在席位置表示システム
業務アプリケーション環境 Web対応携帯電話、モバイルPC、EIP、シンクライアント

 フリーアドレス・オフィスは、見知らぬ人とオフィスを共有することになるため、侵入者に対するセキュリティの整備も重要な課題となる。

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