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» 2007年06月25日 12時00分 UPDATE

仮想マシン環境最新事情(3):イージェネラが進む「第3の道」 (1/2)

独自設計のブレードサーバに、I/Oを中心とした仮想化機能を結び付け、一般的なCPUとOSを用いながらも高可用性システムを実現し、金融機関などで人気を博してきたイージェネラ。同社は2007年に入って、XenやVMwareといったハイパーバイザの統合管理を実現すると発表した。その狙いは何か。設立者でチーフ・ストラテジー・オフィサーのヴァーン・ブラウネル氏に聞いた

[三木 泉,@IT]

 サーバ仮想化では、「仮想化ソフトウェア」「仮想マシン環境」「ハイパーバイザ」などに分類されるツールが注目を浴びがちだ。しかしここに、独特の道を歩んでいるベンダがある。2000年に設立の米イージェネラだ。日本市場でも2003年に日本法人を設け、金融機関などの顧客を獲得している。

 同社の製品はまず、独自設計のハードウェアとソフトウェアを一体的に提供していることが、サーバ仮想化ソフトウェアとは大きく違う。同社の製品「BladeFrame」は、一見普通のブレードサーバのように見えるが、各ブレードにはCPUとメモリのみを搭載。そのほかのコンポーネント、つまりネットワークアダプタやSANのホストバスアダプタ(HBA)などのI/O関連部分は、物理的にはバックプレーン側に集中配置し、「PAN Manager」という管理ソフトウェアで一括制御する。つまり、サーバの各ブレードと、ネットワーク接続やSAN接続との間の割り当てを、この管理ソフトウェア上で論理的にひも付ける方式だ。“仮想化”という観点でいえば、I/Oを中心とした仮想化を提供している。これによってN+1のフェイルオーバーやディザスタリカバリを実現しているのだ。

ALT 米イージェネラ チーフ・ストラテジー・オフィサー ヴァーン・ブラウネル氏

 ネットワークやストレージへの接続を仮想化することで、いずれかのブレードに障害が発生して稼働が停止した場合には、即座にこれらの接続を別のブレードに対して自動的に割り当て直す機能を実現することで、システム全体としての可用性をアップできる。

 BladeFrameのCPUはx86系であり、OSも一般的なものを利用できるようにすることで、同社はオープンさを保ちながらも、ほかでは見られない仕組みを実現、会社の発足当初から金融系をはじめとする多数の顧客を獲得することに成功している。

 イージェネラは2007年になって、XenやVMwareといったハイパーバイザの運用を統合的に管理できる機能「vBlade」を発表、これによって一般的な仮想化ニーズへのアプローチをさらに強化している。

 証券会社ゴールドマン・サックスのIT担当者だったころに抱いた不満からイージェネラを設立、現在もチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)を務めるヴァーン・ブラウネル(Vern Brownell)氏に、同社の戦略を聞いた。

──IBMやヒューレット・パッカード(HP)のような大規模システムベンダと、これまでどのように闘ってきたのですか?

 (私は当初)顧客として大規模システムベンダと取引し、各社の将来計画も把握していました。しかし、データセンターのシンプル化に関するこれらベンダの考え方に不満を抱いていました。データセンターはあまりにも複雑化しており、コンポーネントが多すぎると思ったのです。有効にシンプル化を進めるには別のアーキテクチャが必要だと考えました。このために仮想化を活用してPANのアーキテクチャを生み出しました。2000年当時、メジャーベンダはシンプル化について、どこも語ろうとしませんでした。彼らは複雑化を進めて売り上げを稼ぐことに満足していたのです。

──その状況は、現在では多少なりとも改善したのではないですか?

 7年経ちましたが、メジャーベンダがこの問題に取り組み始めたのはこの1、2年であり、彼らはまだ初歩的な解決策しか提供していないと思います。

 一般的なサーバを相互接続し、4、5種類のソフトウェアを組み合わせることで、イージェネラが実現しているのに似た仕組みを実現できるかもしれません。しかし、これに必要とされるシステムインテグレーションの作業は、洗練されたIT部門を持つ企業であっても非常に難しいものです。ゴールドマン・サックス時代、私のチームはいつも、「なぜシステムの単純化をしようとしているのに、これほどまでたくさんのインテグレーションの作業をしなければならないのか」と自問自答していました。

──XenやVMwareの取り込みは、イージェネラにとってどれくらい重要なのですか?

 すでに、当社のプラットフォーム上で仮想化ソフトウェアを走らせている顧客がいます。vBladeではまず、Xenの管理機能をPAN Managerソフトウェアに統合しました。ハードウェアシステムプラットフォームと仮想化ソフトウェアを本格的に統合したのは、これが業界初だと思います。これにより、仮想サーバと物理サーバの違いを意識することなく、同じように設定し、管理できるようになりました。

 サーバの仮想化が進むに従って、「仮想化マネージャー」のような、専任の担当者が必要とされるような状況も生まれています。これはおかしいと思います。当社は仮想化を7年間提供してきましたたが、今回の取り組みは、XenSourceやVMwareを我々の世界に組み込むことで、使いやすく、管理しやすくすることに新しさがあります。

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