連載
» 2007年09月19日 12時00分 UPDATE

新発想の業務フローチャート作成術(3):業務フローチャートの粒度をそろえるにはどうするか (1/3)

業務フローチャート作成で悩ましい問題の1つは、業務の最小単位である作業を描く際に、同じ業務プロセスであっても人によって大きさがまちまちになってしまうことだ。今回は、これをどのように解消できるかを考える。

[松浦剛志(プロセス・ラボ),@IT]

 日本版SOX法の3点セットでは、業務フローチャートが中心的な役割を担うにもかかわらず、その作成方法には公式が少なく、いざ作成を開始するとさまざまな課題に突き当たってしまう。

 今回は、代表的な課題の1つである、作業の大きさの問題を取り上げる。同じ業務プロセスにもかかわらず、描く人によって業務の最小単位である作業の大きさ、つまり「粒度」がまちまちになってしまう。これをどのように解消するのかについて考える。

 まず、本連載でこれまで述べてきたことをおさらいしてみよう。

 業務フローチャートのそもそもの目的は、「業務プロセスの可視化」にある。しかしながら、実際に業務プロセスを可視化していく際には、「多数の業務バリエーションをどのように図に盛り込むのか」「作業の大きさをどのようにそろえるのか」という2つの課題に必ず直面することになる。

 「業務フローチャートとはそもそも何か」という点に立ち返って見ると、業務プロセスにおいて、その構成単位である「作業」を、「誰が・何を・どうする・いつ・どうやって・どのくらい」という「要素」に分解し、それに「流れ」を加え、視覚的に理解しやすい形に再構築したものといえる。

 第2回では、「誰が」と「何をどうする」とを分離して作業を表すという発想の転換により、1つ目の課題(業務バリエーションの盛り込み)を解決した。3回目の今回は、粒度の定義という2つ目の課題を解決する。

粒度が一定に描けない原因

 業務フローチャートは、業務プロセスの全体像を表すものである。1つの業務フローチャート上で、全体を構成する部分、つまり1つ1つの作業の大きさ、「粒度」がバラバラだったら、どうだろうか? すべての業務バリエーションをきちんとカバーしていたとしても、「これで全体像が分かる」という感じはしないだろう。読み手、使い手としては、困るのではないだろうか。

 粒度については、業務フローチャートの用途との関係で語られることがある。すなわち、「粒度は目的や見る人の立場によって変わるべきだ」という主張が見られる。この主張にも一理ある。部長と担当者では、利用目的が異なるから、見る目線が自然と変わる。コミュニケーション一般の基本として、「受け手(読み手、使い手)が決める」というのは、正論には違いない。

 しかし、目的や受け手に合わせて、いちいち、業務フローチャートを分け、かつ、粒度の定義までうまく落とし込むことはできるのだろうか? 例えば「部長のニーズ」とか、「概要が分かるレベル」とかいった表現では、定義したことにならない。

 粒度を考える際に、忘れがちだが実は重要なことがある。一般に、部分が分かっていてそれらをまとめる作業は楽でも、全体しか分かっていないものを部分に分割する作業は大変である。どのような部分から成っているのか、分析しなければならないからである。

 データ加工の場合で考えると分かりやすい。個々の取引の売上金額が入力されていれば、その合計金額を出すのは簡単である。しかし、もしも複数の取引があってその合計金額しか入力されていなかったら、個々の取引の売上金額は分からない。

 業務フローチャートの場合でいえば、担当者向けに詳しく作成したものがあって、それを基に部長用のものを作成するのであれば、要約する作業で済む。しかし、逆の場合は、業務プロセスの把握を一からやり直すことになるだろう。

 そうであれば、一番小さな単位で作成したものをベースに、目的に応じて要約するというアプローチがよいだろう。しかし、小さな単位で作ることで、逆に労力が増したら意味がない。小さ過ぎて、担当者レベルでさえも意味のないような単位になっても困る。意味があり、把握が容易な最小単位が、求めている粒度ということになる。

 ここからが、本題である。粒度の定義を困難にしている原因は何か? 従来、業務フローチャート作成時に、「この作業は何か? どういうことか?」と考える際に、作業名の定義から入っていなかっただろうか? 作業名、つまりやっていることの抽象的な名称を探すことで、人それぞれの差を生じているのだ。これが、粒度を不ぞろいにしている根源である。

 不ぞろいな作業の単位を、所要時間や重要性によって、分割・統合しても、粒度の均一化は期待できない。個々の単位の中身がまちまちなのだから、均一化できる何らかの基準によって、1つ1つを洗い直さなければならないからである。その上でないと、どれをどう分割・統合するべきか、分からないはずである。

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