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» 2008年05月12日 12時00分 UPDATE

内部統制時代の会計ソフト(2):会計ソフトが業務改善に効く理由 (1/3)

パソコンが普及し、管理会計的な視点も重視されている現在、会計ソフトは不可欠なツールとなっている。しかし安いものから高価なものまで製品は多種多様。当然ながら、高いものを買っておけば間違いないといった単純なものでは決してない。今回は中小企業向けソフトを中心に、選び方のツボをリポートする。

[山口 邦夫 (経済ジャーナリスト),@IT]

自計化の流れが顕著、会計ソフトは必需品

 パソコンが1人1台といわれるほど普及し、比較的安価な会計ソフトも多数登場しているいま、自社で会計処理を行う「自計化」が浸透しつつある。そうしたなか、中小企業の間では、財務会計だけではなく、自社の経営分析に活かす管理会計に対する関心も高まってきているようだ。

 財務会計の数値は経営活動の結果を集計したものに過ぎず、基本的にそれ自体が付加価値を生むものではない。

 しかしCSRという言葉も耳慣れた昨今、中小企業にとっても、取引先や金融機関、株主など、外部の利害関係者に対して経営成績を公表する必要性が高まっている。そうした社会的風潮を受けて、経営上の数値を自社内で活用しようといった発想も徐々に台頭してきたということなのだろう。

 その点、会計ソフトは、財務会計はもちろん管理会計にも大いに役立つことは前回も述べた。入力段階の仕訳と数字の入力さえ正しければ、自動的かつ正確に集計され、煩雑な消費税処理なども大幅に手間を省くことができる。自社の経営成績を日次ベースで把握することもできるため、迅速な意思決定にも貢献する。

 中小企業にとって身近な存在である、会計事務所側の変化も見逃せない。従来の記帳代行中心のビジネススタイルから脱却するため、顧問先企業の自計化啓蒙、促進に取り組むケースが増えているのだ。

 記帳代行業務から解放されることで、付加価値の高い業務にシフトすることが目的のようだが、少なくとも現金出納帳は自社で作成するよう求める会計事務所は増えており、中小企業サイドはExcelか、会計ソフトか、いずれかを導入するのが一般的となっている。

 2006年4月に改正された「中小企業の会計指針」によって、定型の処理を行いやすくなったことも会計ソフト活用を後押しする要因だ。紙で7年間保存しておかなければならなかった帳簿類を、電子データとして保存可能とした電子帳簿保存法との親和性の高さについてはいうまでもないだろう。 

 会計ソフトというと、ビジネスを行ううえで最低限必要なものとして、机などの備品と同じように、何の疑問もなく導入するケースが多いようだ。だが会計の信頼性、透明性といった社会ニーズや制度変更など、時代は確実に自計化や管理会計実践の方向に流れている。せっかく使う以上、意識的に選んでみてはいかがだろうか。

経営戦略と将来性を見据え、売れ筋から選ぶ

 国内におけるパソコン用会計ソフトの歴史は1980年代初頭から始まっている。比較的歴史ある分野とあって製品数は多い。「仕訳を入力して、決算書を作成する」という基本機能はどれも同じであり、振替伝票や入出金伝票、帳簿などを元にデータを入力し、それらのデータから残高試算表や年間推移表、日計表などを自動的に作成できる。

 ただ一度導入してしまうと、後で他社製品に乗り換えるためには結構なロスが生じる。将来を見越して、自社に適したソフトを慎重に選ぶことが必要だ。よって今回は、売れ筋の中でも中小企業向けの定番といわれている会計ソフトを3つ選んだ。

 中小企業にとって現実的な価格帯、会計ソフトとしての豊富な機能、会計に携わっていない人でも一度はその名を聞いたことがあるであろう知名度。基本的に、どれをとってもハズレはないといい切れるレベルの3製品だ。 

 これらを価格帯で見ると、弥生会計が低価格帯、PCA会計、勘定奉行は高価格帯に区分できる。年商10億円までの規模なら、低価格ソフトの弥生会計で十分だろう。

 会計や税務の専門家らも基本的にはほぼ同様の見解を示すが、彼らは「実務上、細かなポイントがカギになるため、使い勝手は十分に考慮したほうがよい」と口をそろえる。

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