SOX法向けのログレポート用テンプレートを26種類用意日本HPがコンサルから運用まで担うログ管理サービスを開始

» 2008年05月19日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月19日、内部統制や日本版SOX法に対応した統合ログ管理アプライアンス「HP Compliance Log Warehouse」(以下、HP CLW)を発売すると発表した。これに併せて、ログに関する上流コンサルティングを提供する「統合ログ管理コンサルティングサービス」や実際にログシステムを構築する「統合ログ管理システム構築サービス」を開始する。

 ここ数年にわたって内部統制や日本版SOX法が注目され、それに伴って企業のログ管理の重要性も増している。日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長 上原宏氏によると、「ログ管理に関するユーザーの悩みや相談はかなり多い。『ログ管理がそもそもできていない』や『ログ運用コストを減らしたい』といったものが主流だ。当社の強みは、製品だけでなく、上流のコンサルティングサービスからサポートまで一貫して行える点だ。ログ管理サービスでは、複数製品を組み合わせることが多く、それぞれサポート窓口が多くなりがちなため、このメリットは大きい」と説明した。

上原氏写真 日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長 上原宏氏

 今回、日本HPが新たに提供するのは、ログに関する上流コンサルティングサービスである「統合ログ管理コンサルティングサービス」と、ログシステムを構築する「統合ログ管理システム構築サービス」、統合ログ管理アプライアンス「HP Compliance Log Warehouse」の3つ。

 コンサルティングサービスでは、米国商務省国立標準技術研究所(NIST)が発行したログ管理のベストプラクティス集である「SP800-92」に準拠した上流過程を提供。必要なログを見極め、集めるログの優先度を定義するという。しかし、必要なログは企業ごとに異なるほか、監査法人によって監査に求めるログの種類も異なる可能性がある。この点について、同社 コンサルティング・インテグレーション統括本部 技術本部 ソリューション技術本部 セキュリティソリューション部 シニアセキュリティスペシャリスト 望月淳氏は、「確かに、日本版SOX法監査で求められるログは、企業形態や監査法人の方針によっても変わる可能性がある。必要であれば、当社が監査法人と直接交渉し、必要なログを判定することも行っていく」とコメントした。

HP CLW写真 統合ログ管理アプライアンス「HP Compliance Log Warehouse」の外観。2U筐体に収まっている

 具体的には、まず企業のログ管理方針を策定し、その方針に基づいてログの管理対象や優先度を定義する。そして、概略スケジュールを決定し、要件定義書を作成するという流れだ。成果物としては、「ログ管理方針書」と「要件定義書」を提供する。

 統合ログ管理システム構築サービスでは、コンサルティングサービスで決定した方針や要件に応じたログシステムを構築する。その際には、ネットワークからOS、ミドルウェア、アプリケーションにまでさまざまなレイヤのログを統合的に取得し、監視・分析できるソリューション作りが重要だとした。

 HP CLWは筐体である「HP Integrity rx2660」に、OSは「Red Hat Enterprise Linux」を採用。米センセージの統合ログ管理ソフトウェア「SenSage Enterprise Security Analytics」を搭載した統合ログ管理アプライアンス製品。Red HatやSenSageを個別導入すると、それぞれ別のサポートを受けなければならないが、HP CLWでは日本HPがサポートを一括で請け負う点が特徴だ。

 また、通常ログデータをRDBなどに格納する場合、オーバーヘッドなどによって生ログデータの2〜10倍のディスク容量が必要になるという。一方、HP CLWでは独自の圧縮によって10分の1程度にデータを圧縮。さらに、データを解凍せずに圧縮したまま検索などが可能なため、一時的に解凍するディスクスペースも不要だという。当然、RDBのライセンスも必要ない。価格は、1ノード構成の場合で1785万円から。望月氏によると、「SOX法に対応した26種類のログレポート用テンプレートを用意している。これを利用することで、大概の企業において監査用のログレポートが作成できるのではないか」と説明した。

 上原氏は、「すでに日本版SOX法は施行されているが、まだまだログ管理に関する悩みを解決できていない企業は多い。コンサルティングから構築、運用まで一貫して提供する当社の強みがまだ生かせるはずだ。値段的にまずは大企業をターゲットに提供していきたい」とコメントした。

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