「Oracle VM」で開発環境を構築、NSSOLなど3社検証済みの仮想化環境でインフラ最適化を提案

» 2008年05月21日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 新日鉄ソリューションズ(NSSOL)と日本オラクル、デルの3社は共同で、オラクルのサーバ仮想化技術「Oracle VM」を使ったITインフラの最適化ソリューションを6月2日から提供開始すると5月21日に発表した。NSSOLが提供しているインフラ統合ソリューション「NSGRANDIR」にOracle VMとデルのサーバを加え、インフラ全体のコンサルティングから設計、構築、保守などのサービスを提供する。

 NSSOLのNSGRANDIRはグリッド・コンピューティング技術を活用し、システム全体の統合管理や柔軟なリソース配分を可能にするソリューション。さらにOracle VMを組み合わせることで、「データセンター全体を仮想化し、柔軟性も向上する。(ライセンスが無償の)Oracle VMを使うことで価格も優位になる」(新日鉄ソリューションズ 業務役員 ITエンジニアリング事業部長 大城卓氏)と見ている。

 大城氏はOracle VMを使った仮想化ソリューションの例としてアクティブ・スタンバイ環境を仮想化環境に移行することで、物理サーバを削減できることや、仮想化技術によってハードウェアと、OSやアプリケーションとの依存関係を解消し、ハードウェアのリプレースをしやすくしたり、統合管理性を高められることを説明した。

 3社はOracle VMと動作検証したデルのハードウェアを組み合わせた「仮想化ソリューションパッケージ」を開発し、開発・検証環境向けに提供する。大城氏によると仮想化技術を使わずに8つの開発環境を構築する場合の目安の価格は3500万円。だが、Oracle VMではライセンス価格を節約できることなどから同じ構成の仮想開発環境を2000万円で構築できるという。2008年中には本番環境向けのソリューションパッケージも提供開始する考え。

3社が提供する「仮想化ソリューションパッケージ」

 大城氏は「現在でもOracle VMが本番環境で使えない、という気はしないが、さらに技術を蓄積してリアルな環境でも完璧に使ってもらえるようにしたい」と話した。NSSOLは独自に仮想化技術の検証センター「NS Solutions Virtualization Technology Center」(NSVTC)を開設し、実運用を前提とした検証を行うという。

 3社はほかに仮想化技術で得られる効果を調査する「仮想化アセスメントサービス」(300万円〜)や、顧客のアプリケーションを仮想化環境で実際に稼働させて、性能や運用の課題をチェックする「仮想化POCサービス」(100万円〜)などのコンサルティング、エンジニアリングサービスを提供する。

 大城氏は「Oracle VM以外の仮想化技術も検証しているが、顧客にとって重要なのは使って大丈夫と誰かがコミットしてくれること。いまその答えを持っているのは3社によるこのスキームだ」と話した。仮想化ソリューションパッケージの提供も含めて、3社は初年度に5億円、3年後に20億円の売り上げを目指す。

左から日本オラクルの常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏、新日鉄ソリューションズ 業務役員 ITエンジニアリング事業部長 大城卓氏、デル コーポレートディレクター Advanced Systems Group 本部長 町田栄作氏

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