富士通、ITインフラサービスをワールドワイドで提供海外売上高40%超を目指す

» 2008年09月24日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 富士通は9月24日、グローバル企業を対象にITインフラを提供するアウトソーシングサービスを体系化し、「グローバル・インフラストラクチャー・サービス」として下期より提供を開始していくとした。富士通 経営執行役上席常務 海外ビジネスグループ長 リチャード・クリストウ(Richard Christou)氏は、「欧州企業を中心にCO2の排出権問題が注目されており、日本のグローバル企業もかなり関心が高い。また、SOX法によってITガバナンスへの注目度も高まっている。これらの追い風を受けて、ITインフラをワールドワイドでサポートしていく潮流ができたと考えている。サービスを標準化して提供し、『Think Global, Act Local』でやっていきたい」と抱負を語った。

クリストウ氏写真 富士通 経営執行役上席常務 海外ビジネスグループ長 リチャード・クリストウ(Richard Christou)氏

 富士通は手始めとして、グローバル部門の体制を維新。2007年までは拠点ごとの戦略実行だったが、これからはクリストウ氏の下に「海外ビジネスグループ」を設置し、その配下に米国や欧州、中国などの拠点を置く。クリストウ氏は、組織改変の目的について「われわれの部門のミッションは、『日本の資源をいかに世界に展開するか?』だ」と説明した。

 現在、富士通の海外売上高は、欧州が7699億、米国が4699億、APAC・中国が8550億の計2兆950億円で、全体の36.1%。これを中期的に40%超に引き上げることが目標だという。最近の実績では、英国歳入関税庁と結んだ10年2300億円規模の契約や、トムソン・ロイターと10年1300億円、独アリアンツ保険と5年650億円と大規模契約も実現しているという。

 グローバル・インフラストラクチャー・サービスは、富士通サービスが3〜4年前から提供していたモデルをベースに新たに体系化し、グローバル展開するもの。世界16カ国85カ所に展開しているサービス基盤を強化する。BRICsなどの新興市場では、日本起点ではなく海外起点で展開する。

 クリストウ氏は、「日本のグローバル企業は事業拡大やグローバル競争化のために海外展開したものの、海外の事業所におけるIT品質を問題視している部分がある。また、ネットワークが進化したことでオフショアサービスの活用も増加している。グリーンITへの要求も強い。これらのニーズに応えるために今回のサービスを開始した」とコメントした。

 具体的には、「拠点設備強化(RESOURCES)」「品質標準化(PROCESSES)」「人材育成(SKILLS)」の3点を実施する。拠点設備強化では、85カ所のグローバル拠点において、インフラサービスビジネス推進に必要となる人事・法務・総務などのバックオフィスなどを整備するほか、地域ごとの拡販体制の整備、グローバルで一貫したサービスを提供するために必要なサービス提供能力の養成を行う。

 品質標準化では、ITIL準拠によるサービスデリバリー・運用サービス手法の標準化や、ビジネスベンチマークの標準化、調達・資産管理に関するサービス設計・ワークフローの標準化などを行う。また、グリーンITを意識し、データセンターの電力・電源管理の標準化も実施する。そのほか、企業の基幹システムを構築するための基盤製品群である「TRIORE(トリオーレ)」によるITサービスの工業化も提供するとした。

 人材育成においては、グローバルレベルでの人材交流や教育プログラムの共同開発と現地運用スタッフの育成、スキル向上のための専門ナレッジ共有などを行う。

 クリストウ氏は、「いまやグローバルに地域をまたがった事業を展開する企業が多い。当社もそれらの企業のニーズに応えるために、ワールドワイドで一貫して最適化されたサービスを提供する。提供形態は、オフショア、ニアショア(国内の遠隔地にソフトウェア開発を外注すること)、オンショアを組み合わせて最適な形で提供する。競合他社との差別化ポイントは、世界規模でサービスを標準化して提供することだ。あらゆる場所で同じ品質のサポートを提供できる点は大きい」と語った。

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