HPのデータセンター統合支援が好調、ヤマハ発も取り組む「やり方が分からない」企業を支援

» 2008年10月03日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が6月2日に発表したデータセンター新設、統合、運用のコンサルティングサービス「HPデータセンター・トランスフォーメーション・ポートフォリオ」(HP DCTポートフォリオ)が好調のようだ。現在、日本HPは12件のデータセンター新設、統合の業務に取り組んでいて、その件数は当初の想定を上回っている。10月3日の説明会で、担当者は「HP DCTポートフォリオは夢物語ではない。すでに顧客が始めている」と話した。

 HP DCTポートフォリオの最新情報を説明した日本HPのコンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 ソリューション戦略第二部 部長の内田恵氏は、現在取り組んでる案件の内訳を説明した。データセンターの新設が5件で、整理統合が7件。グローバル展開する製造業が多いという。

日本HPのコンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 ソリューション戦略第二部 部長の内田恵氏

 HP DCTポートフォリオは単なる施設設計、システム構築だけでなく、アプリケーションの統合やモダナイゼーション(近代化)、運用の効率化などを支援する手厚いコンサルティングサービスを組み合わせているのが特長。データセンターについてHPに問い合わせる顧客は「俊敏なITを作りたいという思いはあるが、やり方が分からない」(内田氏)というケースが多いという。日本HPは自社のデータベース統合などで培った豊富な経験と方法論でこのような企業を支援する。

 日本HPはHP DCTポートフォリオの中で複数のサービスを提供しているが、主要サービスは「HP データセンター・コンソリデーション・サービス」(HP DCC)。実際にデータセンターを統合することを念頭に、戦略策定からデータセンターのデザイン、移行とライフサイクル全般で企業を支援する。

 ヤマハ発動機は日本HPの支援を受けてグローバルでデータセンターを行っている1社だ。ヤマハ発動機は世界に約80の拠点があり、データセンターも拠点ごとに点在している。これでは柔軟な変更やディザスタリカバリが不可能で、運用の効率性も低下する。そのため同社は2006年に今後のIT戦略の基本方針を決定し、その一環としてデータセンターの統合を現在進めている。具体的には世界を6地域に分けて各地域ごとに拠点のデータセンターを集約する。データセンター同士で相互にバックアップを取るようにしてディザスタリカバリの環境も構築。世界の各拠点は地域のデータセンターからサービスを受ける。

 データセンター統合のゴールは2016年に設定している。米国地域や日本地域ですでにデータセンター統合に着手していて、日本では500台の物理サーバを仮想化技術などで半減し、250台に統合するのが目標。日本HPは、サービス特性と重要度によるIT資産のグループ分け、グループごとの標準化方針の策定、IT資産の再配置、効果測定と実行計画の作成などでヤマハ発動機を支援した。基本設計はすでに終えていて、2008年2月からはITインフラのアーキテクチャ設計など、具体的なシステム構築のフェイズに入っているという。

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