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» 2008年10月24日 00時00分 UPDATE

日立ハイテクが国内販売へ:1MbpsでフルHD映像の低価格テレビ会議システム

[西村賢,@IT]

 ライフサイズ・コミュニケーションズは10月24日、HD映像に対応したテレビ会議システムの新製品「LifeSize Room 200」を発表した。SIP、H.323に準拠し、最大6拠点の接続が可能。ビデオコーデックはH.261/H.263/H.263+/H.264/H.239互換。同社よれば毎秒30フレームの1080p30や、よりスムーズな映像の毎秒60フレームの720p60といった“フルHD”に対応する製品は業界初という。DVI-Iモニタを利用した場合の最大解像度は1920×1080ドット。

lifesize01.jpg LifeSize Room 200。HDカメラ、マイク、リモコンが付属する
lifesize02.jpg 1080pの映像では背後の時計の秒針など細かいところも見える
lifesize04.jpg ディテールや質感を伝える用途にも耐えるという
lifesize05.jpg CADの画面やオフィス文書の表示を共有して会議をすることも可能

 同社は合わせてLifeSize Room 200を3台セットにし、3つのディスプレイを利用した「LifeSize Conference 200」、対応フォーマットを720p30に限定した低価格モデルの「LifeSize Team 200」の2製品も発表した。

 価格はオープンプライスだが、想定価格はRoom 200が360万円、Conference 200が1200万円、低価格モデルのTeam 200が250万円。価格にはそれぞれ本体のほか、HDカメラ、指向性マイク、リモコンも付属する。HD対応の競合製品より3分の1から5分の1に抑えたという。国内では日立ハイテクノロジーズがディスプレイを組み合わせて販売する。量産開始は2008年11月の予定。

専用ASICの設計で遅延を低減

 従来HD映像の伝送には5Mbps程度が必要だったが、ライフサイズ・コミュニケーションズは独自開発のASICを用いることで1080p30でも1.7Mbps、720p30では768kbpsという低帯域を実現した。

 ビデオ会議システムでは利用者が不自然さを感じないレベルに遅延を抑えるのが課題となるが、新製品では1080p30で300ms以下、720p60では200ms以下の遅延を実現したという(一般に300msを超えると人間は不自然に感じ、発話の“衝突”が起こるとされる)。IPネットワークを用いたテレビ会議システムで発生する遅延のほとんどは映像のエンコード・デコード処理。このため汎用のDSPを使った一般的ソリューションと異なり、リアルタイムコミュニケーションを念頭に設計した専用ASICで処理する同社ソリューションは遅延の面でも有利という。720p30のストリームを2本同時に利用可能で、HD対応で複数拠点間を結ぶことができるのは同社のシステムが初めてという。

 ネットワークの遅延はルーティングのホップ数が多いと大きくなるが、コーデック処理の時間に比べれば無視できるレベルという。また海底ケーブルに光を通すインターネットでは、静止衛星のように遠距離通信とならないため、大陸間をつないだ場合でも光速度の限界は影響しない。

中小規模の企業の新市場を開拓

lifesize06.jpg 米ライフサイズ・コミュニケーションズ共同創業者でCEOのクレイグ・マロイ氏

 同日都内で会見を開いた日立テクノロジーズのITソリューション営業本部 本部長の長尾英則氏は「これまで広帯域が必要で価格も高かった。安価で低帯域となったことで、この市場自体が大きくなっていくと期待している」と話す。開発元の米ライフサイズ・コミュニケーションズ共同創業者でCEOのクレイグ・マロイ氏は、「これまで多国籍のグローバル企業での導入が多いが、まだほとんどテレビ会議システムを導入していない中小規模の企業でも大きな市場がある」と新規市場開拓に意欲的だ。市場予測はさまざまだが、「HD対応製品は去年の実績で1500台、今年は4000台程度。(2009年の)来年には1万台という人もいれば2万台という人もいる」(長尾氏)と、今後の急激な市場の立ち上がりが予想されるという。「まもなく在宅勤務を行う人の間で使われていくことになり、最終的にはコンシューマ市場でもこうした技術が広がっていくだろう」(マロイ氏)。

 同社では中小規模の企業という新規市場開拓のほかにも、グローバル大企業市場ではISDNを用いたSD映像の古い機器を、ランニングコストや映像品質に優れるIPベースの新しい製品に置き換える需要もあるとにらむ。「IPを使ったHDビデオ・コミュニケーションは、ユニファイド・コミュニケーションの切り札となるテクノロジだ」(マロイ氏)

 ライフサイズ・コミュニケーションズは“テレビ会議”という言葉をあえて避け、“ビデオ・コミュニケーション”もしくは“テレプレゼンス”という言葉を使う。それは「会議以外の用途でも利用が始まっている」(長尾氏)からという。例えばIPベース、HD映像対応となったことで遠隔医療での活用事例や、日本とモンゴルを結んだ遠隔授業などの例があるという。「中国の工場で不良品が出てきたときに日本の技術者が解析するという例など、もはや利用される場所は会議室だけではない。われわれの知らない応用分野もあるのではないかと考えている」(長尾氏)。

 ライフサイズ・コミュニケーションズは2003年創業。2年間の研究開発の後、2005年に初の製品をリリース。2006年9月日本法人を設立している。ワールドワイドで4000社、6000システムの納入実績があるという。

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