オラクル、輸送管理製品「OTM」で国際物流を支援熟成した製品機能と、業務知識に長けたコンサルが武器

» 2008年10月31日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは10月31日、同社のロジスティクスソリューションについてプレスセミナーを開催した。米オラクル ロジスティクス製品戦略バイスプレジデントのデレク・ギトーズ(Derek Gittoes)氏は、サプライチェーンのグローバル化が進む一方で、石油の原価高騰、環境問題などにより、さらなる輸送効率化が求められていることを挙げ、「輸送管理ソリューション、Oracle Transportation Manegement(OTM)なら、輸送オーダー管理から、輸送計画、実行管理、輸送費の支払い・請求まで、輸送ライフサイクルの効率化を一貫して支援できる」と解説した。

 OTMは、2005年に買収したG-log社の輸送管理製品「G-log」を機能強化し、2006年9月にリリースした製品。納期、コストなどの条件に合わせて最適な輸送手段、ルートを提示する「輸送最適化」や、積荷の形状、容積、取り扱い上の注意点といった各種制約に合わせて、最も効率的な積載パターンを提示する「積載最適化」機能を備えている。

写真 米オラクル ロジスティクス製品戦略バイスプレジデントのデレク・ギトーズ(Derek Gittoes)氏

 また、3PL(Third Party Logistics)やフォワーダーなど、サプライチェーン構成各社との情報連携を実現する「輸送実行管理」や、輸送製品の所在をリアルタイムで追跡できる「可視化」、入出庫など各種イベントを監視し、計画通りの実行が難しい場合、関係者にアラートを発信して計画修正を支援する「イベント管理」機能なども搭載している。今年3月のバージョンアップでは、輸送関連データを分析、レポーティングするBI機能も追加した。

 「2007年度、米国の総物流費はGDPの10.1%、輸送コストはGDPの6.1%と、過去20年で最高を記録した。一方、無駄な輸送を減らしCO2削減に配慮する“グリーン サプライチェーン”に対する企業の関心も高まっている。コスト削減と環境負荷低減の両立は喫緊の課題だが、そのためにはサプライチェーンの可視化をはじめ、パートナー各社との情報連携、輸送ルートなどの最適化、過去の輸送コスト分析・改善といった取り組みが不可欠となる。この点で、これらの要件を全て満たすOTMは、輸送ライフサイクルの効率化を包括的に支援できる」(ギトーズ氏)

 一方、機能面だけではなく、G-log時代から長年にわたって改良し続けてきた「輸送管理製品としての熟成度の高さ」も大きな強みであり、海外ではコカコーラやクラフトフーヅ、DHLをはじめ、トヨタ、スバルなど、海外拠点を展開する日本企業も含めて、多数の導入事例があるという。

 ただ、日本企業の場合は、同じ国内の事例を基に導入を判断したがる傾向が強い。また、国際物流分野におけるシステム提案では、通関業務や各国の法規制の問題など、深い業務知識が求められる。こうした販売上の課題について、ギトーズ氏は「そのためにオラクルでは、物流分野の業務知識に長じた多数のエキスパートを擁している」と力説した。

 「そうした専門家による物流業務の経験、知識、ノウハウを製品提案に生かすとともに、IBMやキャップジェミニといったパートナーとも密接に連携して、コンサルティングを重視した販売展開を行っていく。単に製品を提供するのではなく、その導入・活用を通じて、輸送効率化によるコスト削減や環境負荷低減を着実に支援していきたい」(ギトーズ氏)。実際、具体的な数値での売上目標は設定していないが、「パナソニック電工をはじめ、日本国内でもすでに複数社で導入が進んでいる」という。

 ギトーズ氏は「OTMは、リードタイムが数週間かかり、複数のパートナー企業が連携して行うような、グローバル規模の物流最適化に特に効果を発揮する。そうした規模で物流を行う企業の業務環境をみるかぎり、輸送管理に対する需要はますます高まっていくだろう。輸送効率化と環境負荷低減の両立、ひいては売上への貢献という真の経営目標達成に向けて、強力にサポートしていきたい」と述べた。 

 

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