連載
» 2008年12月04日 12時00分 UPDATE

仮想化時代のビジネスインフラ(1):“自主性”なくして、仮想化技術は生かせない (1/2)

仮想化技術は、コスト削減をはじめ、あらゆるメリットをもたらしてくれる。だが、その使い方を誤ればITインフラはいっそう複雑化し、かえって逆効果になる恐れもある。仮想化技術が浸透しつつあるいま、一番大切なのは、自ら考え、挑戦する姿勢ではないのだろうか。

[大木 稔 ,イージェネラ]

仮想化技術は経営にどう役立つのか

 最近、「仮想化」という言葉を耳にする機会がすっかり増えました。情報システム部員やCIOなど、ITに直接的に携わる人だけではなく、経営企画部やユーザー部門、また経営層の人も、それは同じだと思います。

 「仮想化技術」を使って具体的に何ができるのか、きちんと理解している人も少なくないことでしょう。例えばサーバ仮想化によるハードウェア削減、運用管理コスト削減をはじめ、仮想化技術は実にさまざまなメリットを提供してくれます。しかし、仮想化技術がもたらしてくれるものとは、コスト削減ばかりではありません。長期的な観点から経営を考えた際にも、自社の継続的な成長を強力に支援してくれるものとなります。

 では具体的にどんなメリットがあるのでしょう。仮想化技術を利用することによって、長期的にはどのような展望が望めるのでしょう。仮想化技術をビジネスの発展にどう役立てていくべきなのでしょう。

 この連載のテーマはそこにあります。「仮想化技術」というものを、技術論ではなく経営論の視点でとらえ、どう使っていくべきなのかを、あらためて深く考えていこうと思うのです。

 近年、「経営とITの融合」という言葉がキーワードのようになっています。その点、ハードウェアのあらゆる物理的制約を解消し、ITインフラ運用の柔軟性を高めてくれる仮想化技術は、これを大きく後押ししてくれます。特に経営陣がその「意味」と「影響」を正しく理解し、進んで活用していくことで、仮想化技術は自社を発展させるさまざまな可能性を約束してくれるはすです。

CIOに任せきりでよいのか? 

 では、さっそく仮想化の話に入りたいところですが、その前にもう少しだけ「ITの積極活用」について述べたいと思います。

 現在、ITは暮らしやビジネスに必要不可欠な存在になっています。企業は30年以上も前からITを取り入れ、業務の自動化、無人化、機械化、オフィスオートメーションなどを実現し、ビジネスを発展させてきました。また、ここ10年でインターネットや電子メールが爆発的に普及し、ITは多くの人にとってずいぶん身近なものになりました。

 特に近年はビジネスのグローバル化が進み、市場環境変化も激しい時代となりました。一般消費者の価値観や顧客企業のニーズも多様化しています。こうした中、重要な情報をいち早くキャッチし、見極め、迅速に意思決定を行い、業務に反映できるか否かは企業にとってまさしく死活問題です。そして人間が人力だけで扱える情報量には限りがある以上、それができるか否かは情報技術、「IT」をいかにうまく使いこなすかにかかっているのです。

 こうした中、“ITに関することは、すべてCIOや情報システム部に任せきり”というのは、企業として望ましい姿勢とはとてもいえません。厳しい環境の中、実際に業務を行うのはユーザー部門であり、意思決定を下すのは経営層です。厳しい環境下で身を守り、勝ち残るための武器であるITを、使い手であるユーザー部門や経営層がきちんと理解し、進んで活用する姿勢がなければ、企業として生き残っていくのはとても難しいといえるのではないでしょうか。

 何も「コンピュータの仕組みを勉強しましょう」といっているわけではありません。例えば、レガシーシステムはどんな特徴があって何ができるのか、オープンシステムは何が利点なのか、また、それらが自社にとってどんな意味があり、ビジネスにどのように役立っているのか──自社の持っているITと、それらでできること、できないことを把握し、どう業務に役立てていくのか、経営陣も含めて社内で議論し共有する風土が重要だ、といっているのです。

 ところが現実はどうでしょう。ITなくしてビジネスを展開できない状況と認識していながら、「難しくて理解できない」「専門家に任せておこう」「コストばかり掛かって、いつもトラブルを起こしている」といった発言が、ユーザー部門や経営層には多いのではないでしょうか。

 しかし、市場環境の厳しさとITの重要性が広く認識されているいま、こうした発言は許されない状況になりつつあります。企業として生き残り、発展していくために、CEOが先頭に立ち、CIOと一緒に、経営に役立つITの仕組み、シンプルで効果的なITの仕組みを構築していくことが強く求められているのです。

 情報システム部も、「ベンダがこういっていますので、できません」「サポートが中止になるので、システムを変更しなければなりません」「作業員のミスでした」「システムの準備に3カ月かかります」といったような甘えは許されなくなりつつあります。

 そして何より重要なことは、いま「仮想化技術」が浸透しつつあることによって、「経営にITをどう生かすべきか」について、CEOやユーザー部門、CIOや情報システム部門が、お互いにプロフェッショナルとして思考し行動することが、いままで以上に強く求められている、ということなのです。

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