SKU(えすけいゆー)情報システム用語事典

stock keeping unit / スキュ / 在庫維持単位

» 2010年01月09日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 流通業において、最終小売などの販売・商品提供の現場で商品の実販売量や在庫を管理する際に用いられる商品識別の最小単位のこと。SKUは企業の在庫管理の仕組み(システム)によって異なり、必要に応じて個別に定義される。

 小売業の現場、特に大規模小売では膨大な数量の商品を取り扱っているが、これらを欠品しないように管理することが求められる。店頭で商品が欠品するか否かは、販売ペースと手持ち在庫量(stock)、商品在庫補充ペースの相互関係によって決まる。在庫はあればあるほど欠品リスクは小さくなるが、売れ残りリスクが大きくなるため、欠品が起きない範囲でできる限り少ないことが望ましい。商品補充のサイクルに制限があるとすると、販売ペース(商品がさばけるペース)に合わせて安全在庫としての手持ち在庫量を設定することになる。これがSKUである。

 一般に同じ商品であれば同じ販売ペースであるため、SKUは品目(アイテム)ごとに設定されることが多い。しかし、通常販売と特売・特別陳列では販売ペースが大きく異なることがあり、その場合は売り場での最適な在庫数量は異なる。例えば、メーカーがリベートを出したので多くの数量を仕入れて販売単価も下げ、チラシで目玉特売品として取り扱う場合、通常販売時よりも多くの在庫を持つことになる。このように同一品目でも通常販売時と特売時で異なる扱いをするのであれば、別の商品(SKU)として識別・管理することになる。

 さらに、1960年代以前の売り手市場の時代は安く仕入れて店頭に並べれば商品は売れたが、消費者ニーズが細分化した買い手市場の時代になると商品品目も著しく増加し、従来の商品分類よりも数段きめ細かい管理が必要とされるようになった。こうした最小商品単位を日本では単品(絶対単品)といい、これがSKUと同一視される場合が多い。単品とは品種(カテゴリ)や品目よりもさらに細かい商品分類概念で、「清涼飲料」「半袖Tシャツ」「リンゴ」が品種、「ダイエットコーク」「Tシャツ品番3705」「青森県産リンゴ」が品目としたとき、「ダイエットコーク350ml缶」「Tシャツ品番3705のサイズL、ホワイト」「青森県産リンゴ 3個パック」といったレベルの商品識別単位である。

 この分類は、買い物客が何を基準に商品の選択をするか――すなわち、売れ行きを決定する要因によって行う必要がある。従って、どのような属性によって商品分類を行うかは、品種・品目によって異なる。例えば、紳士既製服ならば「品質やグレード」「サイズ」「季節」、婦人服の場合は「ブランド」「色・デザイン」「季節」「価格」「サイズ」、加工食品は「種類」「価格・割引率」「販売単位(量)」、生鮮食料品は「鮮度・賞味期限」「産地」「価格」……といった形である。このレベルで管理する場合、SKU=単品番号(品番)となる。

 SKUは顧客の選択基準に合った商品属性を抽出・設定することで、「似たものはあるのに本当に欲しいものがない」という品切れを防止し、逆に需要のない商品を補充することがないように適切な在庫管理を行うためのものだといえる。

参考文献

▼『単品管理入門』 宮崎文明=著/商業界/2006年3月


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