日本HPとマイクロソフト、DWH、BIのアプライアンス製品を提供「すでに検証・最適化済み。低価格かつ高パフォーマンス」

» 2011年03月10日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)と日本マイクロソフト(以下、日本MS)は3月10日、大規模データウェアハウス専用アプライアンス製品「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」と、ビジネスインテリジェンス機能に特化したアプライアンス製品「HP Business Decision Appliance」を提供開始すると発表した。

 日本HPのハードウェアに日本MSのソフトウェアを組み合わせ、両者の手で検証・最適化済みであることが特徴で、「両社のハードウェア、ソフトウェアをそれぞれ単独で購入して自社でシステムを構築する場合に比べ、優れた機能・パフォーマンスを担保しながら、大幅に短期間、低コストでの導入が可能だ」という。

DWH、BI機能に特化して、両社製品を最適化

 ビジネスのスピードが増している近年、企業が生き残るためには、日々蓄積される膨大なデータに基づいた迅速な意思決定が求められる。これを受けて、大規模データウェアハウス(以下、DWH)や、特別なスキルがなくても手軽に利用できる分析ツールに、いま多くの企業が関心を寄せている。2002年から複数回にわたって協業を重ね、2010年1月には3年間にわたる長期協業契約を結んだ両社では、こうした状況をかんがみ、今回の2製品の提供に踏み切ったという。

写真 左から日本HP取締役 専務執行役員 エンタープライズビジネス執行統括の古森茂幹氏、日本MS 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 梅田成二氏、日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 統括本部長 上原宏氏

 日本HP取締役 専務執行役員 エンタープライズビジネス執行統括の古森茂幹氏は、「企業が競争優位を獲得する上では、必要なITリソースの迅速な手配、運用コスト/リスクの低減、サービスレベル最適化など、効果的・効率的なIT活用が求められている。このためには、システムの標準化、全体最適化がポイントとなるが、部分的な製品連携では最適化にも限界がある。そこで両社では、長期的なビジョンに基づき、両社製品を連携・統合化することで、部分的な製品連携では実現できないITインフラの標準化、アプリケーション環境の最適化を支援していく」と協業の狙いについて解説。今回の2製品は、こうしたビジョンに基づく第一弾の製品であり、「連携・最適化済みのアプライアンス製品」であることが最大の特徴だという。

 まず、大規模データウェアハウス専用アプライアンス製品「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」は、日本HPの「HP ProLiant サーバ」と、「HP StorageWorks P2000 G3 MSA ディスクアレイ」に、日本MSの「Microsoft SQL Server 2008 R2 Parallel DataWarehouse エディション」(以下SQL Server 2008 R2 Parallel)を組み合わせたもの。超大規模並列処理技術を搭載したSQL Server 2008 R2 Parallelの採用と、各製品の最適化により、競合他社の大規模DWHアプライアンス製品と同等の高速処理を実現しながら、価格はその3分の1ほどに抑えたという。

 「HP Business Decision Appliance」は、「HP ProLiant サーバ」と、「Microsoft SQL Server 2008 R2 Enterprise エディション」「Microsoft SharePoint 2010」を組み合わせたもの。多くのユーザーが使い慣れたExcelベースのUIで容易に分析ができる「PowerPivot」機能を持ち、企業内の誰もが日常的かつ手軽にデータを活用できる環境が整う。

 「両製品のポイントは、これまでも提供してきた標準的な製品を使って、企業が求める高機能/高パフォーマンスを実現していること。各製品を単独で購入し、自社で組み合わせることもできるが、チューニングや検証に時間とコストがかかってしまう。その点、これらの製品は両社の手で検証済みであり、それぞれDWH、BIとしての機能に特化して、システムを最適化した状態で提供する。これにより、各製品を単独で購入するよりも、低コストでスピーディに導入しながら、より優れた機能、パフォーマンスを享受できる」(日本MS 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 梅田成二氏)

写真 「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」の参考価格は1億8000万円から。DWH市場に新たな選択肢を提供する

 サポート体制についても、両社協業による24時間365日のワンストップ保守サービスを提供し、万一の際には、「連絡を受けてから、1時間以内にファーストレスポンスを返す」という。

 「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」の参考価格は1億8000万円から、「HP Business Decision Appliance」は800万円から。特に、前者については「既存の他社DWH製品はハードウェアだけで1億6800万円、ソフトウェアが9億8600万円、さらにシステム構築費も含めて10億円以上ものコストがかかる。今回の製品によりDWH市場に新たな選択肢を提供できる」(日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 統括本部長 上原宏氏)と、その導入のハードルの低さをアピールした。

写真 日本HPと日本マイクロソフトは2010年1月に長期協業契約を締結。3年間で250億円規模の共同投資を行う

 なお、今回の協業契約は、3年間で250億円規模の共同投資を行う大規模なものであり、今後もメッセージング、OLTP、プライベートクラウドなど、企業が求める機能に特化した各種アプライアンス製品を順次提供していく構えだという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ