日本HP、ハイブリッド環境の自律運用でリソース活用を最適化クラウド利用によるリソースの無駄遣い、ガバナンスの乱れも防止

» 2011年05月27日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本ヒューレット・パッカードは5月26日、ハイブリッドクラウド環境を自律的に制御、最適化する「HP Cloud Service Automation 2.0」(以下、CSA 2.0)を発表、6月1日から提供する。

 従来から提供している運用自動化ツール「HP Operations Orchestration software」や、サーバ運用管理自動化ツール「HP Server Automation software」、死活監視/性能情報収集ツール「HP SiteScope software」に、これらの“頭脳”となる機能群「CSA Foundation」を組み合わせてパッケージ化した製品で、各ツールを連携させることで、ユーザーからの要求を一元管理、無駄のないリソース運用を自律的に行うという。

ハイブリッド環境でのITリソース活用を自律的に制御

 近年、多くの企業では、自社で所有する既存のシステム環境と、クラウドサービスを併用している。こうした「ITの所有形態が混在したハイブリッドクラウド環境」の場合、運用管理を徹底していなければ、ITリソースの不足や非効率な使用、クラウドサービスの無計画な購入など、コスト、ITガバナンスの両面であらゆる問題が生じてしまう。

写真 米HPのHP software エグゼクティブバイスプレジデント ビル・ベッティ氏

 米HPのHP software エグゼクティブバイスプレジデント ビル・ベッティ氏は、「市場動向や業務状況に応じて、スピーディかつ合理的に必要なITリソースを調達できるのがクラウドの醍醐味。だが、ユーザー部門からの要求や、現在のシステム構成を確実に管理・把握できていなければ、リソースの有効活用どころか、コスト増大をはじめ、あらゆる非効率を招いてしまう。今必要なのは、ユーザー要求に無駄なくスピーディに応えられる体制作りと、既存のシステム環境、プライベートクラウド、パブリッククラウドが混在したハイブリッド環境を“いかに確実かつ効率的に管理するか”だ」と解説した。

写真 ユーザーからのリソース配備要求に迅速に応えるとともに、ハイブリッド環境を一元管理し、リソースの有効活用とビジネスのスピードアップを両立する

 新製品、CSA2.0はこうした考え方を具現化した製品だという。具体的には、ユーザー要求を一元管理する「CSA Self Service Portal」、動的なリソース割り当て機能を持つ「CSA Allocation manager」、CMDB機能を持つ「UCMDB used as a real-time configuration database」など6機能で構成された「CSA Foundation」と、従来から提供してきた運用自動化ツール「HP Operations Orchestration software」(以下、OO)、サーバ運用管理自動化ツール「HP Server Automation software」(以下、SA)、死活監視/性能情報収集ツール「HP SiteScope software」(以下、SiS)を組み合わせたパッケージ製品となっている。

 この「CSA Foundation」を、OO、SA、SiSの“頭脳”として機能させ、各製品の機能を連携させて“手足として使う”ことで、ハイブリッド環境の自律運用を実現する。

写真 「CSA Foundation」を、OO、SA、SiSの“頭脳”として機能させ、各製品機能を連携させて“手足として使う”。これにより、ユーザー要求に無駄なくスピーディに応えられる体制と、ハイブリッド環境の確実かつ効率的な管理を実現する

 その基本的な仕組みとしては、まず「CSA Self Service Portal」が、ユーザーからの“サービス提供窓口”となってITリソース要求を受け付け、管理する。その要求を「CSA Self Service Portal」が運用自動化ツール、OOに渡す。OOはSiSから上がってくる死活監視/性能情報と、CMDB機能からの構成情報を収集。さらに「Allocation manager」やSAと連携して、一定のポリシー、ワークフローに基づいて、自動的にサーバのプロビジョニングなどを行う。

 これにより、ユーザー要求、ハイブリッド環境のリソース使用状況、システム構成情報を一元管理。任意のビジネスポリシー、コスト条件、必要な処理性能などに基づいて、自律的にコンピュータリソースを自動制御することで、ハイブリッド環境における「リソースの効率的な活用、コスト削減を実現する」。

 マルチベンダ環境でのサーバ、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションのプロビジョニングを行えるほか、ベストプラクティスに基づいた各システムの連携テンプレートを豊富に用意し、自律的なハイブリッドクラウド環境を迅速に構築できる点も特徴だという。

写真 日本HP 執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏

 CSA 2.0の価格は560万円。OOは720万円(Starter Pack)、SAとSiSは「CSA for Matrix」の名称でセット提供され928万円(全て税抜)。当面は「データセンター事業者、大手企業など、OOやSA、SiSをすでに導入済みの企業に提案していく」という。

 同社 執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏は、「環境変化が早い昨今は、ある意味、クラウドをビジネスに生かしていかざるを得ない状況とも言える。特に震災後はBCPの観点からもクラウド活用が重視されている。こうした中、ハイブリッド環境の効率的な管理・最適化こそがビジネス成功の鍵となる。本製品でハイブリッド環境のシームレスな管理、保全、統制を実現し、多くの企業を支援していきたい」と話している。

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