航空機――機内で携帯は「NG」、だが無線LANは「OK」へ?
航空機の中で、携帯電話の使用は禁止されている。しかし、無線LANを利用することは可能――となるかもしれない。
今年1月に改正航空法が施行され、日本国籍の航空機内での携帯電話の使用が、はっきり「禁止命令の対象となる行為」として定められた。機長が止めるように命令してなお、その行為を行った場合(禁止命令に違反した場合)、50万円以下の罰金が科せられる(記事参照)。
同法では現状、無線LANなどもこの禁止命令の対象。ところが、日本航空(JAL)のように、航空機内で無線LANサービスの提供を考える企業もある。これはいったいどうしたことになるのだろう?
携帯電話はやはり「NG」
まず確認したいのが、なぜ、携帯電話の使用が禁止されるのか。改正航空法では、「離着陸時のみ作動させてはならない電子機器」と「常時作動させてはならない電子機器」とを分けており、携帯は後者にあたる。
理由は言わずもがなのことだが、「航空機のフライトシステムに悪影響を及ぼす」からだ。携帯電話はこれまでも、心臓ペースメーカーなど医療機器を誤作動させると指摘されてきた。ロケット爆発事故の際、原因は携帯電話でないかと取りざたされたこともある(記事参照)。JALの広報によれば、やはり「携帯電話は、計器に異常を及ぼすと疑われている」のだという。
「それほど頻繁ではないが、実例もある。各航空会社と情報交換していると、携帯電話が原因と見られる異常があったようだ」。
改正航空法を施行した国土交通省も、「オートパイロットのシステムに、異常をきたしたと聞いている」と話す。
「『決定的に影響があるのか』と問われれば、技術的に証明できているわけではない。だが、影響がある可能性は高い」。危険回避を優先する観点から、規制へと傾いたようだ。
無線LANは「OK」になる?
ここで気になるのが、無線LANの問題だ。例えばJALは、航空機内でのブロードバンドサービスを予定している(記事参照)。サービス提供に当たっては有線LANと無線LANの両方がありえるが、「シートに有線を導入するのは難しい」(JAL広報)ことから、無線LANが有力視されている。
実際、JALの場合、ボーイングのビジネスユニットの一つ、Connexion by Boeing(CBB)から技術提供を受ける予定だが、CBBでは、フェーズドアレーアンテナの技術を利用し、衛星――機内間で通信を確立する。そして機内では、ユーザーは、イーサネットポートを搭載したノートPCや、設定および動作確認済みのIEEE 802.11b準拠の無線端末を用意して、サービスに登録すればいい、とされている(同社サイト参照)。無線LANサービスの提供は当然、視野に入っているわけだ。
だが、改正航空法では、携帯電話同様、無線LANも禁止されている、と考えられる。国土交通省の発表したリリースを見ると、“常時作動させてはならない電子機器”として、「作動時に電波を発射する状態にある」電子機器が挙げられているからだ。
実際、同省に問い合わせたところ、「無線LANカードを挿したノートPC、PDAなどもこれに該当する」という判断だった(なお、“作動時に電波を発射しない状態にある”ノートPCおよびPDAであれば、「離着陸時にのみ作動させてはならない電子機器」に分類される)。
ただし……と、担当者は言葉を続ける。
「今後、安全性が確認できた無線通信については、法規制を外すことも検討する。実は、JALの件でも話は聞いている」。
機内への無線LANの導入は、「旅客の利便性を向上させるシステム」(同省)といえる。このため、安全性の問題さえクリアできれば、サービス提供を認めることに同省は前向きのようだ。
では安全性は立証できるのか。この点をボーイング社に尋ねたところ、Connexion by Boeingでは「3年にわたり、地上および空中で実験・研究を重ね、搭載機器に悪影響を与えないことを立証している」と、安全性の立証について自信を持っている様子だった。
JALが無線LANサービスを導入するには、国土交通省への認可申請が必要となるが、現時点ではこうした申請は行われていないようだ。しかし、同社がCBBの試験資料をそろえてサービス導入を申し込めば、同省がこれを認める可能性は十分にありそうだ。機内での携帯電話の利用はNG。しかし離着陸時を除けば、PCなどから無線LANでブロードバンドネットワークが使えるようになる日は案外近いかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「うんこ移植」でピーナツアレルギー改善、15人中6人が数粒食べられるように ヒトの実証は初 Science系列誌掲載
-
2
Gmail、他社メアドを送信元にできる機能を廃止へ
-
3
個人開発「家系ラーメンマニア」で利用者急増 対応追いつかず一部停止 「より信頼していただけるアプリに」
-
4
手術中の大地震、患者守る医療スタッフ……熊本総合病院の動画に反響 「プロの動き」「尊敬」
-
5
「ChatGPT」のデフォルトモデル、PlusとProは「Sol」に、無料版は「Luna」でテキストチャット無制限に
-
6
「プチプチ」の川上産業、「プチプチ株式会社」に社名変更 創業58年で
-
7
熊本地震で地面がずれた場所、35kmの線状に 衛星データで「変位境界」を判読 国土地理院
-
8
イーロン・マスク氏の「Terafab」、建設地決定 テキサス州グライムズ郡に168億ドル投資
-
9
写真加工アプリ「SNOW」にステマで措置命令 報酬付きでX投稿依頼、広告表示なし 消費者庁
-
10
「高学力=ストレスに耐えられる」ではない 秀才が苦しむ一方、収入・満足度が高いのは…… 医学生・医師1000人超を分析
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR