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男は本当にメカメカしいものが好きなのか小寺信良(3/3 ページ)

» 2006年02月13日 10時24分 公開
[小寺信良,ITmedia]
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やがて訪れる混沌の時代

 男女の偏見イメージによるマーケティング戦略は、これまでのところ作り手と買い手双方が均等に偏見の呪縛から逃れられていないために、なんとなく上手く回転しているように見える。だがあと5年足らずで、若年層の傾向が全く見えない時代が訪れることになるだろう。

 なぜならば、小学校で性差別根絶教育を叩き込まれた子供達が、ティーンエイジャーに成長するからだ。まさにそういう子供を持つ筆者の目からすると、一時はこの教育法に対して行きすぎを感じたほどだ。それはもはや性差別を無くすというよりも、性差そのものを無くすかのような指導も見受けられたからである。

 さすがにそこまで行くのは問題アリとして、最近は指導が緩やかになってきているが、この学校教育の影響というのは、将来の消費者像に大きな影響を及ぼすであろう。

 例えば筆者の娘などは、赤やピンクといった色に対して、極端な嫌悪感を示す。気持ち悪い、と言うのである。従って選ぶ服やカバンなどは、旧来であれば男の子にあてがわれていたような青・グレー系がほとんどだ。遊びに来る同級生も、似たり寄ったりである。

 子供服のナルミヤはさすがにこのあたりの傾向をしっかり押さえていて、コレコレのイメージは、今の首都圏に住む小中学生の女の子の好みに近い。

 一方で男の子は、赤い服を着ることに抵抗がなくなっている。これはヒーローの姿が大抵「赤」だったり、あるいはサッカーなどのユニフォームでも赤が用いられたりすることで、「赤=強さの象徴」といったイメージができあがりつつあるのかも知れない。

 もっともガンダム世代では、「赤=3倍速い」というイメージはとっくにできあがっていたわけだが、しかし服装にまで赤を持ち込むことはなかった。このあたりにもやはり、性差イメージによる洗脳の姿が垣間見られる。

 女性だから暖色、男だったら黒かシルバー、といった旧来のセオリーが役に立たない今の子供達は、今後のマーケティング戦略にとってかなりの強敵になってくるだろう。デバイス系市場で数年後にまごつかないために、過去5年ぐらいの子供服の傾向などを調べておくのも、一つの方法かもしれない。


小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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