ワイヤレスゲート、FONと協力してWi-Fi事業を拡大――音声SIMの提供も
ワイヤレスゲートがFONと共に国内Wi-Fiスポットの拡大に乗り出した。低価格ルーターの発売を皮切りに、移動販売向けに水と電気、そしてWi-Fiを提供するビジネスを開始する。
ワイヤレスゲートは3月19日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に、フォン・ジャパンらと協力してWi-Fiインフラの拡充に向けた取り組みを開始すると発表した。
第1弾として家庭での無線LAN利用を広げるため、FONの低価格無線LANルーター「Fonera mini」を大手家電量販店のヨドバシカメラで発売した。対応規格はIEEE802.11g/b/n(2.4GHz帯)で最大通信速度は150Mbps、価格は4950円(税込)。購入者はWi-Fi環境の一部をFON会員と共有することで、世界1300万カ所、国内100万カ所以上あるFONのアクセスポイント(AP)が無料で利用できるようになる。
今後はFONとワイヤレスゲートが提供する国内4万カ所以上の無線LANサービス、および3G/LTE対応の格安SIM「ワイヤレスゲートWi-Fi+LTE SIMカード」との連携を強め、同社のユーザーが利用できるWi-Fi網を拡大する計画。さらにFONは、今回の取り組みにより国内APをさらに20万カ所増強する予定だ。
同社の池田武弘CEOは今後について「Wi-Fiインフラは大きな柱。LTE領域の事業拡大と同時に、Wi-Fi網の拡充も目指す」と述べ、スポット数の拡大を急ぐとともにロケーションコマースやビックデータ事業にも取り組み、Wi-Fi事業の収益を拡大する計画を明かした。SIMカードサービスでは近く音声付きプランを開始してラインアップを拡充する方針だ。また25日には、既存プランのデータ容量増量も発表した。
ロケーションコマース事業の核となるのが、移動販売などスモールビジネスが対象の支援サービス。キッチンカーやカートを使った移動販売事業者向けに電気や水、アプリを提供する「M-Store Platform」を事業展開しているアンデコと組み、同社の無線LAN環境も提供する。
M-Store Platformは、「INFO PLUG」と呼ばれる電気と水の据え置き型スタンドと、「POP UP CART」という手押し式カート、そして店舗情報などを配信するアプリやECサイトの開発・運営などを組み合わせたもの。加入事業者はINFO PLUG近くで電気や水を使った一時的な店舗を開設できる。またINFO PLUGにはFONのAPも設置されており、店舗や利用者がWi-Fiを利用できる。
ワイヤレスゲートはこれまでにも飲食店や公共施設にWi-Fiスポットを展開しているが、従来はWi-Fiを店舗や場所に対する「付加価値」と捉えていた。今回発表されたM-Store Platformへの支援では、Wi-Fiスポットのある場所で移動販売を行うなど、Wi-Fiとビジネスの関係を逆転させたという。
関連会社ワイヤレスマーケティング・ラボ代表で、3月末にワイヤレスゲートCAO(チーフ・アライアンス・オフィサー)に就任する予定の原田実氏は、「Wi-Fiスポット(AP)を拡大したいが、現状はAPを構築する事業主がコストを負担する構図。FONと協力して安価なルーターを提供することで(従来型の)APを拡大するのと同時に、Wi-Fiと水、電気を一緒に供給してスモールビジネスを支援し、APを単なるコストセンターではなく、収益が得られるモデルでWi-Fiを拡大したい」と意気込む。
M-Store Platformは2016年中にINFO PLUGを1000カ所、POP UP CARTを1000台展開するのを目標としており、2020年までにそれぞれ10倍に拡大する計画。東京オリンピックの開催中は既存の飲食店だけでは世界中の人手に対応できないことから、M-Store Platformによる移動販売で需要を満たしたいとう。また対応スポットを地方にも広げることで、地方創生にも役立てられるとした。設置スポットの開拓やWi-Fiインフラの管理・運用は、これまでに約6万カ所を超えるWi-Fiネットワークの構築の実績があるバディネットと共同で行う。
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