見事な“鎮火”はなぜ可能だったのか UCCの事例から考えるTwitterマーケティング(1/3 ページ)
Twitterを企業のマーケティングに利用しようという企業が増えているが、「どう使えばいいか分からない」「炎上が恐い」といった声もある。
UCC上島珈琲は2月18日、自ら行ったTwitterキャンペーンが批判を浴び、2時間で終了に追い込まれた経緯を題材に、識者を集めてTwitterマーケティングについて考えるセミナーを開いた(「Twitterを理解していなかった」――UCC、キャンペーン“炎上”を説明 勉強会で経験共有へ)。
UCCのキャンペーンでは炎上後の対応の早さに注目が集まったが、背景にはリスク管理体制の整備や、いくつかのラッキーな偶然があったことが浮き彫りに。BOTを使ったキャンペーンのあり方や、人手で更新するアカウントの難しさなどについても議論が行われた。
なぜ失敗したのか
問題になったキャンペーンは5日午前10時にスタート。11のアカウントを使い、ユーザーがつぶやいた「コーヒー」「UCC」などの30のキーワードに反応、宣伝リプライを自動で送信するというものだった。
フォローしていないアカウントから一方的に宣伝リプライが届いたため「UCCがスパム的なリプライを送っている」と批判の的に。特に広告・ネット業界のTwitterユーザーが素早く反応し、批判が拡大した。Twitterの口コミの広がりを可視化する技術を持つホットリンクの内山幸樹社長によると、キャンペーン開始から1時間で、関連のツイートが1万8000件投稿されたという。
「Twitterは対話のメディアなのに、今回は完全に一方通行だったことが問題」と、複数のTwitterアカウントを運用しているアルカーナの原田和英社長は話す。
例えば米航空会社JetBlue Airways は、ユーザーが空港で困っていることをツイートするとサポートするというやり方で、160万ものフォロワーを集めている。「JetBlueはTwitterを『リスニングや会話に適しているメディア』だと言っている」(原田さん)
「Twitterに対する期待値のズレがあった」――マスマーケティングと同じ考え方で、たくさんのユーザーに情報を届けようとした場合は、UCCのキャンペーンのような手法を採らざるを得なかったのではと、ブログマーケティングなどを手掛けるアジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦社長はみる。
「Twitterは、ユーザーの声のリスニングから入り、その上で自分でもしゃべって活性化するものだが、フォロワーのいないTwitterアカウントを使って何千、何万に情報を届けようとすれば、BOTを使うしかない」
BOTもやり方次第
BOTだけが問題だったのではない。「BOTはやり方次第。メールマーケティングと同じで、やり方の問題」(原田さん)だ。「例えば、飲み屋の席にお姉さんがコーヒーを持って来て宣伝する、というのは盛り上がる。UCCのBOTのアイコンがきれいなお姉さんで、誘導の文言が魅力的だったらうまくいったかもしれない」(徳力さん)
BOTを使ったマーケティングにも成功事例はある。グリコ乳業の「ドロリッチ」を飲んでいることを示す「ドロリッチなう」というツイートに反応するBOT「@dororich」(ユーザー個人が作ったもので、グリコ公式ではない)の例は有名だ。
TSUTAYAのTwitterアカウントで2月3日から行っている、BOTを使ったクイズキャンペーン「@TSUTAYA・クイズ」もスタートから約2週間で5000人以上のフォロワーを集める人気。フォローしてきたユーザーが、「クイズ」というキーワードをリプライした時のみ、映画に関するクイズを返信するというものだ。
@TSUTAYA・クイズの企画に関わったゲームクリエイターの飯野賢治さんによると、ユーザーにフォローしてもらった上で、要求があればユーザーごとにクイズを返す――という形で、“タイムラインを汚さない”キャンペーンを目指したことが、成功につながったとみる。「タイムラインは自分の場所、家という感じがあり、汚されるのは嫌なもの」(飯野さん)
今後BOTが進化し、その人の興味があることを適切なタイミングで話しかけることが可能になれば、新たな活用法もみえてくると内山さんは話す。
迅速な対応、なぜ可能だったのか
「UCCのキャンペーンが批判されている」――同社でネット事業を統括するグループEC推進室に報告が入ったのは、開始から1時間半経った11時30分のこと。キャンペーンは12時までに中止し、午後1時に上島豪太社長に報告、3時20分には謝罪文を公開した。
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