Windows 10のアップデートで退場していく旧世代アプリたち:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
Windows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update」に搭載される新機能が注目を集める中、ひっそりと退場していく旧機能もある。
Microsoftは2017年秋の配信開始に向け、Windows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」の開発を進めている。同アップデートでは発表当初に注目された「タイムライン」と「クラウドクリップボード」が間に合わない見込みだが、その他に予告された新機能の多くは搭載され、秋には利用できるようになるだろう。
こうした新機能が話題の中心になる一方、既存の古いコードやアプリはフェードアウトし、その役割をひっそりと終えようとしている。MicrosoftはFall Creators Updateで削除あるいはサポート縮小を予定しているアプリと機能の一覧を公開した。その一部を紹介しよう。
- 削除またはサポート縮小になる機能
- 3D Builderアプリ:Print 3DまたはPaint 3Dに移管。デフォルトではインストールされず、Windowsストア経由でのみ利用可能
- Enhanced Mitigation Experience Toolkit(EMET):実行がブロックされる。Windows Defender Exploit GuardのExploit Protectionの利用を推奨
- Microsoft Paintアプリ:削除。Windowsストア経由でのみ利用可能
- Outlook Expressアプリ:削除
- Readerアプリ:Edgeブラウザに統合
- Reading Listアプリ:Edgeブラウザに統合
- テーマ内でのスクリーンセーバー機能:削除。ただしコントロールパネルなどから利用可能
- System Image Backup:サードパーティー製品の利用を推奨
- Windows PowerShell 2.0:5.0以降の利用を推奨
なお、今回の機能削除リストの中に「Microsoft Paint(ペイント)」アプリが含まれていたことは、世界各地で反響を呼んでいる。
ペイントアプリは、初代Windows 1.0が登場した1985年からOS標準ツールとして搭載され、その後32bit対応などを経て、実に32年弱も「Windowsの顔」のようなアプリとして知られていた。画像編集アプリとしての機能はシンプルで、使い勝手は決してよくないものの、初代Windowsからの定番アプリがWindows 10でついにその役割を終えることを惜しむ声も少なくない。
Microsoftでは大きな反響を考慮してか、ペイントアプリについて公式ブログで述べている。ペイントアプリはOS標準装備ではなくなるものの、Windowsストアのアプリとして無料公開され、いつでもダウンロードして利用可能になるという。
一方でFall Creators Update以降のWindows 10では、3Dに対応した「Paint 3D(ペイント3D)」が登場。Fall Creators Update以降ではいよいよ完全にペイントアプリを置き換えるものとなり、今後のフィードバックもこれに反映される。ペイント3Dはユーザーインタフェースが大きく変化しているため、とっつきにくい部分はあるが、これまで通り2D描画ツールとしての機能も備えており、従来のペイントより幾分か高機能となっている。
なお、ペイントとは逆に「標準ツールが高機能すぎて他製品を必要としない」と言われていた「System Image Backup」の退場を惜しむ声も一部にある。
いずれにせよ、(1996年にリリースされた)Outlook Expressを含めて20年以上使われてきたツールにまとめて見直しが入ったのは、Windows 10を中心としたプラットフォームがレガシーから新しい世代へ移行しつつあることの現れなのだろう。
関連キーワード
Windows 10 | Creators Update | Fall Creators Update | Microsoft | Windows Store | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
- Windows 10の年2回アップデートで脱落していく旧世代PCたち
最新版にアップデートすることでサポートも継続できるというWindows 10のWaaS(Windows as a Service)モデルだが、古いハードウェアは徐々に対応ができなくなっていく。 - 誤って上書き保存した写真や動画も元通りに OneDriveのバージョン履歴が進化
Officeファイルのみ対応していたOneDriveのバージョン履歴機能が、あらゆるファイルに拡張された。写真や動画の編集でうっかり誤って上書き保存してしまったファイルも過去バージョンにさかのぼって復元できる。 - Windows Updateのストレスが減る? 操作不能になる時間を短縮
意図しないWindows Updateの実行と再起動で作業を邪魔された経験がある方は少なくないだろう。次期大型アップデートでは、Windows Updateのストレスが減るかもしれない。 - Windows Phone 8.1サポート終了もWindows 10 Mobileへの移行は進まない?
MicrosoftのモバイルOS「Windows Phone 8.1」がサポート終了となった。サポートを継続するには、Windows 10 Mobileに乗り換えるしかないが……。 - Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」が当初と少し違う姿になる可能性
Microsoftが2017年秋に配信する予定のWindows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update」。当初予告していたが間に合わなそうな機能、予告はしていなかったが追加されそうな機能が出てきている。 - WannaCryをきっかけにWindows 7から10への移行が加速する?
世界的に猛威を振るったランサムウェアのWannaCryに感染したPCは、ほとんどがWindows 7搭載機だった。結果として、セキュリティが強化されたWindows 10の注目度は高まりつつあるようだ。 - まだ7を使う? 2017年秋にWindows 10のセキュリティと管理機能はここまで進化する
まだまだ企業で多く使われているWindows 7だが、2020年1月には延長サポートが終了する。Microsoftは次期Windows 10大型アップデートでセキュリティと管理機能を強化し、Windows 7からの移行をさらに加速させる構えだ。 - Intelが脅威を感じる「ARM版Windows 10」の実力 そして「Always Connected PC」とは?
MicrosoftとQualcommが開発を進める「Windows 10 on Snapdragon」の実力、そしてIntelも関係するWindows 10の新モバイルPCコンセプト「Always Connected PC」とは何か?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.