漫画制作での生成AI活用の現状とは? 漫画家「うめ」さん作成の100ページ超の資料が無料公開中
経済産業研究所は4月8日、「漫画制作における生成AI活用の現状:2024春」という資料を無料公開した。2人組漫画家「うめ」のシナリオ・演出担当の小沢高広さんが作成したもので、3月に開催した講演で使用したもの。商業漫画において、生成AIを活用しているという小沢さんの知見を全103ページの資料で紹介している。
資料ではまず、うめさん自身の作業環境を例に挙げ「生成AIは新たなツールの1つとして作家を支援することができるが、ネームに関しては、当面の間はほぼ役に立てないと思う」と述べている。AIがもっともらしいウソをつく現象「ハルシネーション」を理由に「事実の検索には不向きだが、エンターテインメントとしての創作には適性があるのではないか」と説明している。
生成AIが具体的に漫画制作で貢献できることの例として、おじさん構文を作るなど「苦手なものを代わりにお願いする」や、アイデアを引き出すツールとして「壁打ちの相手をしてもらう」、たくさんの人の画像ざっくり作るなど「やたらめったらパターンを作る」、人の手による調整は必要なのを前提に「やっぱり背景は描いてほしい」の4つを挙げている。
また「生成AIは漫画家の仕事を奪うのか」という議論にも言及。小沢さんは「1ページ漫画や広告漫画などで広がっていくかもしれないが、面白い長編ストーリー漫画は正直まだ描ける気がしない。また、漫画業界は慢性的な人手不足なので、AIがアシスタントの仕事を奪うことにはならないと思う」と説明した。
一方、「明日何が起こるか分からないのが生成AIの世界」と進歩の速さも特徴にあるとし「短期・中期的にはAIに仕事を奪われることはないが、長期的には分からないというのが正直なところ」とコメントした。
生成AI利用は権利侵害になるか、という話題も取り上げ「AIによる学習は著作権法の30条の4で認められているが、それでも忌避感がある方のために、オプトアウト(不同意の意思表明)が簡便にできる技術は確立してほしいところ。大事なのは、生成AIを使わずとも、やってはいけないことはしないということだ」と意見した。
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