経営層自ら“社内ChatGPT”を全社展開 日清食品CIOが語るAI促進の極意(2/2 ページ)
この取り組みの結果、営業領域では全部で32の業務で生成AIが活用できると結論付けた。大きく「顧客のために使う時間」と「その他時間」に分けており、例えば前者なら商談の準備に必要な「マクロトレンド情報収集」や「消費者動向」「プレゼン資料骨子作成」など、後者ならば「売上確認」や「取締役会資料作成」などの作業業務に使えることが分かったという。
このように営業部門での活用方法を確立していった結果、23年5月には部内利用率が28%だったところ、11月には68%まで向上した。成田さんは「これらの32の項目はプロジェクトメンバーによって練り上げられた項目。それらを営業担当者が実際に使って確かめてもらうことで、利用率を高めていった」と話す。
営業部門による先行事例を作った結果、今度はマーケティング部門から「導入してみたい」と声が上がったという。マーケティング部門では情報収集やトレンド調査の他にも、アイデア出しやプレスリリースのたたき台作成、コピーライティングなどの業務でも社内ChatGPTを活用。生成AI活用の幅をさらに広げていった。
「生成AIを使うでは、ハルシネーション(AIが根拠のない文章を生成すること)に懸念を抱く人も多いと思う。生成AIを活用する以上は、これは今後も付き合い続けなければならないと思う。“ハルシネーションがあることを前提に”どのように業務効率化を考えていくか。その発想が重要になると思う」(成田さん)
営業部門とマーケティング部門の導入後、他部門でも導入が進み、さまざまな部門で社内ChatGPTの活用が大きく進む結果になった。
生成AIの“限界”を理解
同社ではこの他にも社内報で生成AIの活用事例を紹介したり、若手社員が作成した社内ChatGPTの利用状況を可視化したダッシュボードを全社展開したりするなど、社内広報にも力を注いでいる。
成田さんは全社導入・展開する上でのポイントについて「生成AIはまだまだ完全ではなくて、やれることもあればやれないこともある。その特性を理解し、それでも活用していこうという空気を組織で作っていくのが全社導入する上では重要になる。生成AIには何ができるのか、その限界への理解に齟齬(そご)があると、導入を阻む障害になるかもしれない」と話す。
日清食品では現在、RAG(外部データベースの情報を参照させ、機密情報を基にした回答などを可能にする仕組み)に着目しており、AIが社内ドキュメントや各業務システム内の情報を参照して回答する仕組みの構築に取り組んでいる。また、AIの利用をあらかじめ前提として業務プロセスを確立することで、さらなる業務効率化の推進を目指している。
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