「やるメリットよりも、やらないと死ぬ」――経営層に生成AI活用を説く、メルカリAI新担当のハヤカワ五味の奮闘(2/3 ページ)
また、単純なコスト削減だけでなく、従業員満足度や顧客体験の向上など、複数の観点からメリットを説明することで、より効果的な理解が得られるという。
一方、現場レベルでの受容を促すためには、評価制度との連動が重要だとハヤカワさんは強調。「業務を効率化して、いい仕事をした人を適切に評価する仕組みにする。それを初期の段階から伝え、働きかけている」。
孤独なAI推進担当 最初の1手は「積極的な情報発信」
メルカリ内のAI推進部門については、ハヤカワさんがメルカリに参画して現在まで自身しかいないと明かし「部門ですらなく、己のみという感じ」と話す。生成AI推進の活動は、具体的な成果や数字に表れにくい。最初はメンバーのやる気も高いものの、頑張っても成果が見えづらく、モチベーションが下がりやすいという。
そんな中で重要になるのが、地道な情報発信だ。メルカリに入社した当初、ネットでの知名度はあるものの、社内で知名度はほとんどなかったという。状況を変えたのは、社内Slackでの継続的な発信だった。
「最初は投稿してもリアクションなんて全然なかった。でも、しつこく投稿し続けることが大事」とハヤカワさん。「見ない人は見ないし、見てくれる人は『この人は生成AIに興味あるんだ』と、活動に気付いてくれる。気にせず投稿し続けることが大事」と続ける。
転職後の最初の3カ月は特に意識的に情報発信を続け「何かAIのことで困ったら取りあえずハヤカワに聞こう」という立場を確立。ただし「強い気持ちで1カ月。それでも2、3カ月たっても変わらないなら、会社に合わなかったということかもしれない」と、地道な活動の期限も現実的に設定することを勧めていた。
製造業でのAI活用、どこまで業務を任せるか
トークショーでは参加者からの質問に答える場面もあった。「生成AIは『なんでもできて、なんにもできない』といわれる。この特性を踏まえ、どんな業務で生成AIを活用すべきか」。参加者からの問いに対し、マスクドさんは段階的なアプローチを提案する。
まず手をつけやすいのは、メールの文章作成や資料作成といった基本的なテキスト生成だ。ここから始めて、次の段階としてRAGの活用を推奨。社内の業務手順や製品・サービスの知識をAIに学習させ、問い合わせ対応などチャットbot的な使い方へと発展させていく。この上で「次のステップは、オフィスの外での活用だ」と、マスクドさんは順序立ててAI導入を進めていくことを勧めた。
製造業の機械設計に携わる参加者からは「継続的なデータ処理において、従来のマクロやRPA・ローコードツール『Power Automate』と生成AIをどう使い分けるべきか」という質問が投げかけられた。
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