現代アーティストは動画生成AI「Sora」をどう使う? 京都・両足院で開催した“AI作品の個展”を見てきた(1/3 ページ)
「スベテ、ワスレテクダサイ」──建仁寺(京都市)の塔頭寺院である両足院で、現代アート作家のチャールズ・リンゼイさんは個展「Please forget (everything)-チャールズリンゼイ展」を開催した。禅仏教の教えにインスパイアを受けたという、さまざまな作品群。その中には、OpenAIの動画作成AI「Sora」を活用したものもある。生成AIを用いた、アート作品とは一体どのようなものか。
リンゼイさんは、サンフランシスコ出身のアーティスト。時間や技術、生態系、記号論のアイデアを融合させた作品を発表し、科学と芸術を組み合わせた表現が評価されている。OpenAIは2月にSoraのプレビュー版を発表して以降、一部のアーティストにSoraを先行提供しており、リンゼイさんもそのうちの1人。5月から動画生成を使った作品制作を始めたという。
リンゼイさんは現在は京都府に住み、意識の研究に没頭中。そんな中、両足院副住職・伊藤東凌さんと出会い、AIと意識に関する疑問を考えるようになった。「AIは感情を持てるか? 感情を持てたなら意識を持てるのでは? そして意識を持てたならば、悟りを開けるのではないか?」──リンゼイさんのこの問いに興味を持った、伊藤さんと意気投合し、展示会の開催へと至った。
動画生成AIは“夢”を形にできる
展示会の目玉は“枯山水の上に立つ駐車場精算機”の作品だ。これは、リンゼイさんが見た夢の内容を再現したモノだという。「駐車場精算機が販売しているものとは何か? それは時間と空間だ。枯山水の白い砂は、意識の海を表している。これら2つを抽象的に組み合わせたものがこの作品になる」とリンゼイさん。
この駐車場精算機のモニターには映像が流れており、この映像がSoraによって作られたものになる。大きく写るグリーンの瞳が印象的な映像だが、リンゼイさんはSoraによって自身のアイデアを全て形に残せるようになったと喜びを見せる。
「私の考えたストーリーは、ある日駐車場精算機が自意識を持ち、機体同士がネットワークを組んで人間に対してイタズラをして、それを笑いの種にしていたらどうなるのか、ということ。Soraにはプロンプトとして、以前刊行した詩集を入力した。AIにとっては難解で理解できないものだったと思うが、結果として夢に近い映像ができて、まさに私が作りたいと思う世界だった」(リンゼイさん)
リンゼイさんの夢を再現したというSoraの映像は、とても不思議な内容だ。海の中を駆けていたかと思えば、突然マグロ工場へと場面が変わる。そして人の瞳が差し込まれたかと思うと、マグロのシンボルがあふれる街を上空から眺めていく……。リンゼイさんによると、このマグロは“100年先の人工マグロが作られる工場”をイメージしたという。
他にも、パチンコ店にある缶のごみ箱を模した作品もある。2020年に発売した限定パッケージの缶ビールとともに、Soraの映像を流すデバイスをごみ箱に入れた作品。東京オリンピックが延期となった年に発売された商品を使うことで、時間のゆがみを再現したとしている。
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