マスクド・アナライズの「AIしてま~す!」
「三国志」に学ぶ生成AIの導入推進 「推進派」「反対派」「無関心派」の勢力争い、その攻略法は?(2/3 ページ)
その意味では三国志は特定世代における共通体験であり、きっかけとして有効です。まずは三国志を用いて反対や無関心を示す世代の心をつかみ、生成AIに誘導していきましょう。
危機的状況を三国志で乗り越える
社内において生成AIの推進派は、少数派であり改革派です。そこで機動力や知恵を用いて、対抗する反対派を説き伏せながら、無関心派への影響力を強めることが目的となります。三国志であれば劉備や諸葛亮(孔明)の「蜀」の立場です。そこで社内の生成AI推進派が集まり、結束を固めましょう。中国の小説「三国志演義」に登場する逸話で、劉備と関羽と張飛が義兄弟の契りを結んだ「桃園の誓い」です。
ここで「導入活用チームを立ち上げたからには、上は経営陣に報い、下は現場を支援することを誓います。入社年度は違えど、願わくは成功を遂げてから全員そろって同じ年にチームを解散しましょう」と、目標を設定します。
社内における影響力も確保しなければいけません。ここは三国志における「三顧の礼」です。礼を尽くして影響力のある人材を招いたり、目上の立場から目下の相手を重用する人材登用を行いましょう。例えば生成AIを積極的に活用する若手社員を、社内での旗振り役に抜てきするなどの施策も必要です。
あるいは外部から実績のある人材を呼び寄せるため、何度も礼を尽くす必要もあるでしょう。社内で新たなことを行うには、影響力が必要になります。重要な立場となる人材においては説得を繰り返しながら、味方につけましょう。
AI活用でも「泣いて馬謖を斬る」
生成AIにおける懸念として、間違い(ハルシネーション)があります。生成AIは正しいように見える間違った回答をするリスクがあるため、正しい使い方を教育して間違えることを理解する必要があります。合わせて情報漏えい対策などの安全性においてはルール作りも重要です。
しかしルールを守らない人がいれば、役職や立場を問わず罰する「泣いて馬謖を斬る」も必要になります。これは蜀の諸葛亮に由来する故事成語で「規律を守るためには、時には愛する人や優秀な人なども厳しく罰する必要がある」という意味があります。生成AIも1度の事故が原因で利用禁止になる可能性も考えると、厳密な運用と処分が必要です。
10万本の矢を作らず“奪う”発想
生成AIの成果として、会社からむちゃ振りを要求されるでしょう。三国志でも同じく「10日間で10万本の矢を集めよ」と、命令される場面があります。このむちゃ振りを受けた諸葛亮は濃霧に乗じて、わら人形を乗せた船を敵陣に差し向けます。相手がその船に矢を放つことで、大量の矢を手に入れる作戦に出たのです。矢を作るのではなく、既に持っている相手から奪うという奇策です。
生成AIにおいても、短期間で大きな成果を出すには少人数の推進派だけでは限界があります。そこで他人の利益となる行動を誘発して、成果に結び付けましょう。生成AIの影響が出やすい他部門に働きかけて、少ない労力で結果を出せる仕組みから成果につなげます。
業務効率化における「赤兎馬」
生成AIが業務効率化に与える影響について説明するなら、三国志における希代の名馬である「赤兎馬」に例えられます。赤兎馬が1日に1000里を駆けるように、生成AIがあればエンジニアが1日で1000行のコードを書けると説明すれば、重要性が伝わります。さらに馬と同じく生成AIは、優秀な人材を組織に引き寄せたりつなぎとめる役割もあるので、必要性を示せます。
それでも「自分に生成AIは不要」「生成AIを使う必要はない」とかたくなに動かない人もいます。生成AIに起因する問題ばかりを指摘して一時的な流行だと勘繰るばかりでは、何も進みません。変化を拒む故の問題です。一方で社会変化において抜本的な改革が求められるのは三国志でも同様です。
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マスクド・アナライズの「AIしてま~す!」
企業への生成AIの導入活用やDX支援を手掛ける、AIコンサルタントのマスクド・アナライズさんが“生成AIの今”を愛を持って解説していく。
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