「人型ロボの陸上選手」爆誕 GMO陸上部の走行をモーキャプ、目指すは“ロボット世界陸上”(1/2 ページ)
陸上選手のように走る人型ロボットは実現できるか――GMOインターネットグループ傘下で、ロボティクス事業などを手掛けるGMO AI&ロボティクス商事(以下、GMO AIR)がこんな挑戦を始めた。同グループ陸上部に所属する長距離・マラソン選手のデータを利用し、トップアスリートのように自律走行できる人型ロボットを目指す。4月2日に等々力陸上競技場(神奈川県川崎市)で報道陣に披露したデモ走行では、人型ロボットが転倒する一幕もあったが、おおむね安定してジョギングする姿を見せた。
モーションキャプチャーで取得した選手の走行データを学習したAIを、サードパーティーの人型ロボットに搭載する。デモ走行では、ロボット開発企業である中国Unitree Roboticsの人型ロボット「G1」を利用した。同陸上部に所属する今江勇人選手、黒田朝日選手、嶋津雄大選手、吉田祐也選手を率いるようにG1が走る姿などを披露した。
デモは等々力陸上競技場の屋外・屋内の各トラックで行われ、屋外では、ジョギング程度の速度で安定して走る姿を見せた。一方屋内では、より速い速度を出しながらも、レーンを外れて斜めに走行して報道陣や壁にぶつかりそうになったり、転倒したりする一幕もあった。
屋外のデモではUnitree Robotics側が用意しているAIを使い、安定性を重視した。対する屋内のデモでは、GMO AIRが選手の走行データをもとに独自開発したAIを利用し、走行速度を重視したという。
担当者は、屋内のデモの不具合について、モーションキャプチャーにささいなずれが生じた状態でAIが学習した可能性があると分析する。今後は取得したデータの整備にも注力し、安定性と走行速度の両立を目指す。
今回のデモを踏まえ、GMO AIRの内田朋宏代表も人型ロボットの社会実装の1番の課題として「ロボットの制御」を挙げた。
「(人型ロボットの)コストもだんだん下がってきており、導入しても良いと思える範囲に収まると思う。あとは実際の制御だ。先ほどの走行を見ても分かる通り、まだ物足りない。この点はわれわれが貢献できる部分ではないか」(内田代表)
目指すは“ロボット世界陸上”優勝?
GMOロボッツでは今後、中国で8月に開催予定の人型ロボットによる陸上競技大会に参加する。同大会では最長1500mのレースが開催されるとしており、この距離にあわせてより早く走れるAIを開発中だ。現状はおよそ3m/sの速度にとどまるものの、2025年の同大会で優勝した人型ロボットの走行速度である5m/s程度まで高める。
GMOインターネットグループ陸上部は、1月1日に開催された「第70回全日本実業団対抗駅伝競走大会」(ニューイヤー駅伝2026)で優勝するなどの実績を持つ。内田代表によると、プロの競技者の走行データはばらつきが少なく、AIにとって質の高い学習データになるという。
一方、データを提供する選手側にもメリットがあるとする。人型ロボットを制御するAIの開発過程で得られた知見を、選手のフォームの改善などに役立てたい考えだ。
GMO AIRでは、自社開発したAIを他社製の人型ロボットに搭載し、貸し出すといったサービスを手掛けている。GMOロボッツの取り組みを通じ、人の動きを模倣してAIの性能を高める技術や、人型ロボットが自律的に動作する技術などを磨くことで、人型ロボットの社会実装につなげる。
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