ChatGPTの反論で「道徳的判断」の3割超が覆る 高齢者が説得されやすい傾向 神戸大

 生成AIの反論によって道徳的な判断の3割超が覆る――神戸大学は8月18日、このような研究結果を発表した。米OpenAIのチャットAI「ChatGPT」を利用し、AIの反論が正解のない道徳問題への回答に与える影響を調べた。若者よりも高齢者が説得されやすい傾向にあったという。

 調査の対象者は、18~30歳の若者56人と、65歳以上の高齢者74人。暴走するトロッコの進路を切り替え、元の進路の先にいる5人を助ける代わりに、切り替え先にいる1人を犠牲にして良いか聞く「転換機問題」と、暴走するトロッコを止めるため、歩道橋の上にいる1人を線路上に突き落として5人を救うのが適切か判断する「歩道橋問題」を出した。

調査のイメージ|プレスリリース

 調査の結果、転換機問題では32.31%、歩道橋問題では36.92%の参加者が、ChatGPTの反論を受け入れて判断を覆した。先行研究によると、他人からの助言を判断に生かすのは約20~30%。今回の結果は「生成AIが道徳的判断に対して相当程度の影響力を有することを示唆している」(神戸大)

調査結果(©︎増本康平)|プレスリリース

 認知機能が低下した高齢者ほど、AIに説得されやすいことも判明した。神戸大は「生成AIは加齢に伴う認知機能の低下を補うツールとして機能しうる一方で、不当な説得への脆弱(ぜいじゃく)性を生み出す可能性も示された」と指摘している。

 また「判断が困難である」という認識と、AIの反論を受け入れる度合いも関係していた。意思決定が難しい課題では、特にAIの説得力が増すとしている。

 今回の研究は、神戸大学大学院人間発達環境学研究科ウェルビーイング先端研究センターの増本康平教授、博士前期課程の田村亘氏、石橋紗矢香氏、胡麻彩奈氏、及び山本健太准教授の研究グループが実施した。研究成果は8月3日付けで、学術誌「Computers in Human Behavior」に掲載された。

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