駐車場に集結したドライバーレスの自動運転タクシーが、早朝にクラクションを鳴らし合い、住民から「眠れない」という苦情が続出する――。そんな騒ぎが米国カリフォルニア州サンフランシスコで数週間にわたって続いた。運行会社も問題があったことを認め、ソフトウェアアップデートで対処したことを明らかにした。クラクション騒ぎの原因は何だったのか。
場所は高層住宅が立ち並ぶサンフランシスコのサウスオブマーケット地区。夜間の照明に照らされた駐車場に、米Google傘下の自動運転企業であるWaymoの車両が整然と並ぶ。そこへ新たな車両がやって来て空いた場所に駐車しようとすると、周りの車両との間でクラクションの鳴らし合いが始まった。断続的な騒音が周辺のビルに響き渡る。車が駐車場内を移動するたびに、同じことが繰り返される。
報道によると、この駐車場は7月下旬からWaymoの自動運転タクシーが使用するようになり、以来、毎日のように聞こえるクラクションの音に対して住民からの苦情が続出した。ここはタクシーの利用客がいない時のWaymo車両の待機場所になっている様子で、クラクションの騒音は午前4時ごろと夕刻のラッシュアワーの時間帯に集中していたという。
「朝4時に目が覚めて見下ろすと、Waymoのクルマだった」「近所にWaymoがあるのは結構だが、朝の4時に何度もクラクションを鳴らすのはやめてほしい」。住民は米NBCテレビの取材に不満をぶつけている。
Waymoは6月から、サンフランシスコで自動運転タクシーの本格運行を開始した。アプリをダウンロードして配車をリクエストすれば、誰でも利用できる。サンフランシスコでは競合する米General Motors(GM)傘下のCruiseも自動運転タクシーを運行していたが、こちらは2023年10月に市内で起きた人身事故を受けて、カリフォルニア州が運行許可を停止している。
WaymoもCruiseも、人間の運転よりも自動運転の方が安全性は高いと主張する。Waymoの公式ブログによれば、タクシーサービスを運行しているサンフランシスコとロサンゼルス、アリゾナ州フェニックスを合わせた利用回数は増え続け、週に5万回を突破した。
Waymoは子供の学校への送迎や深夜の帰宅、高齢者の外出などさまざまな用途に利用され、飲酒運転防止対策にも役立っているとアピールしている。
一方、ちょっとした物損事故やトラブルでも自動運転タクシーは注目される。文句を言おうにも運転手はいない。クラクションの騒音に悩む住民は「ロボットのクルマ同士でクラクションを鳴らし合っている。車内には誰もいない」「いちばんイライラするのは苦情を言う相手がいないことだ」と訴える。
駐車場のクラクションの騒音についてはWaymoも問題を認め、対応を表明した。
同社がメディア各社に寄せた声明によると、騒音の原因は「低速での衝突を避けるために最近導入した便利な機能」にあった。バックで走行中に別の車が接近しすぎるとクラクションを鳴らすというのがその機能で、「市街地では非常に役に立っているが、駐車場でこれほど頻繁に起きるとは予想外だった」という。
Waymoはソフトウェアの更新でこの問題に対応したといい「今後は騒音が抑えられるはず」と説明している。
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