MicrosoftやNVIDIAなどは7月24日(現地時間)、オープンウェイトのAIモデルに対する性急な規制の回避を求める書簡「Open Weights and American AI Leadership」を公開した。米国の政策立案者に向けてAIエコシステムのあり方を提言する内容であり、Meta、IBM、OpenAIなど米国の35の企業や団体が署名に名を連ねている。
オープンウェイトモデルとは、誰でもダウンロードして検証・改変し、自前のインフラで実行できるもので、書簡ではこれを米国のAIエコシステムの基盤と位置付けている。1980年代のオープンソースソフトウェア運動を引き合いに出し、新興企業や大学、公共機関が一から学習せずに高性能モデルを利用できること、クラウドやチップ、アプリケーション層にも競争が生まれること、企業が特定ベンダーにロックインされずにデータとモデルを自ら管理できることを利点として挙げた。
安全性について、クローズドモデルだけに依存することが本質的に安全なわけではないと主張している。少数のクローズドモデルに能力が集中すれば単一障害点を生み、外部からは検知できない形で侵害や誤動作が起こり得ると指摘し、広範な研究者コミュニティが挙動を検証し、脆弱性を発見できるオープンウェイトの方が安全につながり得るとした。一方で、一度公開した重みは開発元の制御を離れ、改変版の追跡や撤回が難しいというリスクも認めている。
政策提言としては、新興企業や研究者への計算資源のアクセス拡大、データセットや評価フレームワークといった共有資産への投資などを求めた。また、あるモデルの出力を使って別のモデルを学習・改善する「蒸留」については、正当な開発・評価手法だとして、違法な窃取とは区別し、後者は的を絞った法的・商業的枠組みで対処すべきだとしている。
この書簡の公開を受け、IT業界のトップらが次々と賛意を表明した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは自身初のXへの投稿で「世界にはフロンティアのクローズドモデルとフロンティアのオープンモデルの両方が必要だ」と述べた。
その数分後にはMicrosoftのサティア・ナデラCEOも、オープンソースは健全なAIエコシステムに不可欠だと投稿している。さらに、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏、OpenAIのサム・アルトマンCEO、イーロン・マスク氏らもオープンソースへの支持を表明した。Googleのスンダー・ピチャイCEOも、同社が長年オープンソースの恩恵を受け貢献してきたことや、「Gemma」を用いて一貫してオープンウェイトモデルを提供してきたことに触れ、Googleとしての書簡への支持を表明した。
背景には、中国のオープンモデルの急速な性能向上がある。ここ数週間で、Z.aiとMoonshot AIという中国の2社が、米国の研究所のものに匹敵するモデルをリリースした。米政権内では技術流出への懸念が高まっており、スコット・ベッセント財務長官は米国の知的財産を盗む中国企業への制裁を検討していると述べ、マイケル・クラツィオス大統領科学技術担当補佐官も「米国の独自技術の窃取を狙った大規模かつ秘密裏の産業的蒸留は容認できない」と非難している。
米New York Timesによると、AnthropicとOpenAIは、中国製オープンモデルへの規制強化を求めてワシントンでロビー活動を行っているという。なお、今回の書簡に対し、Anthropicは現時点で署名していない。
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