OpenAI、「超知能時代」の産業政策を提言──週休3日制や富の分配など、アルトマンCEOが語る新たな社会契約
OpenAIは、「超知能」時代の到来に向けた政策提言書を公開した。国民全員が恩恵を享受する「公共富裕基金」の創設や、週休3日制への移行、AIへのアクセス権保障など、野心的な構想を盛り込んでいる。アルトマンCEOは、破壊的な変化に備え、ニューディール政策に匹敵する新たな社会契約と民主的な議論の必要性を訴えている。
米OpenAIは4月6日(現地時間)、「Industrial Policy for the Intelligence Age」(超知能時代の産業政策)と題する12ページにわたる政策提言書(PDF)を公開した。
同社が「AIの支援を受けた最も賢い人間をも凌駕する能力を持つAIシステム」と定義する「superintelligence」(超知能)への移行が、かつてない規模とスピードで進むなか、従来のような段階的な政策の更新だけでは不十分であると指摘する。この文書を公開した目的は、技術の進歩がもたらす恩恵を一部の企業や富裕層だけでなく広く共有し、重大なリスクを軽減しながら、人間を第一に考えたAIガバナンスに関する民主的な議論の出発点とするためという。
文書では、今後のAI主導の経済成長に向けた野心的な政策アイデアが要約されている。例えば国民全員がAIによる経済的恩恵を受け取れるようにする「Public Wealth Fund」(公共富裕基金)の創設や、自動化された労働に対する新たな課税アプローチへの移行などが挙げられている。
また、AIによる業務効率化の成果を、給与水準を維持したままの週休3日制(週32時間労働)という形で労働者に還元する案や、AIへのアクセスをインターネットや電力に匹敵する基礎的なインフラと見なす「AIへの権利」の保障といった構想も盛り込まれており、政府や企業、市民社会がこれらを叩き台として議論を深めることを期待しているという。
サム・アルトマンCEOは米Axiosとのインタビューで、超知能の到来は非常に近く、かつ破壊的な変化をもたらすため、米国には大恐慌時代の「ニューディール政策」に匹敵するような新たな社会契約が必要だと語った。同氏は今後1年以内にサイバー攻撃などの重大な脅威を目の当たりにする可能性があると警告しつつ、公開した文書は絶対的な処方箋ではなく、真剣な議論を早急に始めるためのものだと強調している。さらに、「これほど私たち全員に影響を与える決定を、誰か1人が単独で下すべきではない」と述べ、社会全体で責任を持ってAIの未来を形作る重要性を訴えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
OpenAIの“AGI担当CEO”シモ氏が療養休職 ライトキャップCOOが“特別プロジェクト”担当に
OpenAIのAGI導入担当CEO、フィジ・シモ氏が、病気療養のため数週間休職すると発表した。休職中はグレッグ・ブロックマン社長が製品管理を代行する。また、ブラッド・ライトキャップCOOが特別プロジェクト担当の新職務へ異動し、CMOのケイト・ラウチ氏はがん治療のため辞任。ゲイリー・ブリッグス氏が暫定CMOに就任する。
OpenAIがメディア企業TBPNを買収──AI時代の「対話の場」構築へ
OpenAIは、IT特化型メディア企業のTBPNを買収した。TBPNは著名人が出演するライブ番組で知られ、買収後も編集の独立性を維持したまま活動を継続する。OpenAIのフィジ・シモ氏は、AIによる変化への対話の場を支援する意義を強調。アルトマンCEOも、TBPN独自の自由な発信スタイルを歓迎する意向を示した。
OpenAI、ソフトバンクGなどから約19兆円調達 「AIスーパーアプリ」構想を加速
OpenAIは、総額1220億ドルの資金調達を完了し、企業価値は8520億ドルに達した。AmazonやNVIDIA、ソフトバンクGらが主導し、初の個人投資家枠も設けられた。調達資金は計算資源の確保やインフラ構築に充てられる。最終的には「AIスーパーアプリ」を開発し、世界的な経済インパクトの創出を目指す。
OpenAI、「Sora」終了へ
OpenAIは、動画生成AI「Sora」のアプリとAPIの提供終了をXで発表した。Disneyとのライセンス契約も解消される見通しだ。終了の詳細は後日発表予定だが、同社が「スーパーアプリ」などの新たな大規模プロジェクトへリソースを集中させるための戦略的判断と見られている。
