12年前の「Apple救済」、Microsoftは後悔している?
12年前の8月6日、スティーブ・ジョブズ氏はMacWorldのステージに上り、Appleの経営難を救ってくれる投資家を見つけたと聴衆に語った。その投資家とはMicrosoftだった。
「Appleが勝ち、Microsoftは負けるという考えを捨てなければならない」とジョブズ氏は語った。当時のジョブズ氏は今よりも髪の色が濃く、白い長袖シャツと黒いベストを着ていた。「Appleが勝つには、優れた成果を上げる必要がある」
1997年8月、Appleは「ビッグ・リボウスキ」のウォルター・ソブチャックが「苦痛の世界」とでも表現しそうな状態に陥っていた。株価は落ち込み、元CEOのギル・アメリオ氏はApple取締役会に追い出され、ジョブズ氏はまだヒット商品のiMacをリリースしていなかった。社外の観測筋からは、搾取工場で作られたスペースシャトルのように崩壊寸前に見えたに違いない。
だがジョブズ氏は既に、Microsoftとの取引について交渉をしていた。Appleが生き残れば、MicrosoftがPC市場を独占しているという米司法省の主張は弱まるだろう。さらにMacはOfficeとInternet Explorer(IE)にとって新たな市場となる。また取引の見返りとして、Appleは「MicrosoftがWindowsを開発した際にMacの重要な部分を盗用した」として起こした長期にわたる訴訟を取り下げる。
そしてMicrosoftは1億5000万ドル相当の議決権なしのApple株を購入し、少なくとも3年間は売却しないと約束した。これにより同社はライバルの大株主になった。当時のAppleの時価総額は約25億ドルで、Microsoftの持ち分はおよそ6%となった。これでMicrosoftは後援者という立場になった。救世主とも言えるかもしれない。
ああ、なんと時代は変わったものか。
Appleは4~6月期に、前年同期比12%増の12億3000万ドルの利益を上げた。大半はiPodとiPhoneの好調な売り上げによるものだが、Macの売り上げも前年同期から4%伸びた。これに対して、Microsoftは同じ期間に売上高が前年同期から17%減少し、ウォール街の予測を10億ドルも下回った。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、7月30日の年次金融アナリスト向け説明会で、Appleがハード市場でシェアを伸ばしていることは、Microsoftにとってはまったく脅威ではないと示唆した。
「世界的に見て、Appleのシェアは、われわれに何かを失わせるものではない」とバルマー氏はこのとき語った。「高い価格は設定できない。値段を高くすると、われわれが望んでいる大量出荷ができない」。同氏は、Microsoftの最新の広告キャンペーンは、Windows PCをMacよりも価値のある提案としてリポジショニングし、市場にいい影響をもたらしたと主張した。
だがMicrosoftは、ライバル復活の影響はないとしつつも、Appleの取り組みの幾つかをまねようとしているようだ――成功の度合いはさまざまだが。同社は2006年に、独自の音楽プレーヤー「Zune」をリリースした。クールな機能(Zune間でのワイヤレス通信など)も幾つかあったが、市場で大きく勢力を伸ばしたことはなかったようだ。また今年の秋には、初のMicrosoft直営店もオープンする予定だ。初期のフロアプランは、Appleの店頭での取り組みを思い起こさせるものとなっている。
Microsoftの直営店が市場で人気を博すのか――特に、同社が直営店の多くをAppleストアの近くに開くという計画を続けたら――に関しては、結果は見えている。それから、わたしはZuneを使っている人を一度も見たことがない。
だが、直営店もZuneもMicrosoftの中核市場ではないし、Microsoftは2009年第1四半期に米PC市場でAppleから数ポイント市場シェアを奪ってさえいる(Gartner調べ)。このため、そしてMac版ソフトからの売り上げがあるため、Microsoftはおそらく昔のAppleへの資金注入を後悔してはいないだろう――ただ、Microsoft幹部は時々、Appleがこんなに成功していなかったらいいのにと思っていることだろうが。
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