Microsoftも、Appleも、Oracleも――IT大手はなぜ“訴訟戦法”に走るのか(2/2 ページ)
Androidを恐れるMicrosoftやAppleは、ライバルを妨害するための「先制攻撃としての特許訴訟」に打って出ている。だがこの戦法に力を入れれば、いずれ落日を迎えることになるだろう。
だが、先制攻撃としての訴訟というものもある。小型核攻撃のビジネス版のようなものだ。目的は、ターゲット企業の製品の販売を妨害することや、その企業から顧客を遠ざけること、あるいは開発を遅らせる――被告企業が技術革新に投じていたリソースを弁護に回すことになるため――ことにある。これが、MotorolaとGoogleに対する訴訟で起きていることだ。AndroidはMicrosoftとAppleを脅かした。だから両社は、Androidの歩みを遅らせるためにやれることをやるつもりだ。一方Oracleは、GoogleやAndroidを恐れていない。ただ、Googleがよこそうとしない分け前が欲しいだけだ。
MicrosoftとAppleの技術革新の歴史を見てみると、なぜ両社がおびえているかが分かるだろう。Microsoftのスマートフォン事業は何年も前から革新を生み出せず苦戦している。最新の取り組みである「KIN」は、よく言っても痛ましい結果で終わった。Windows Phone 7は活況にわくモバイル市場に有力なプレイヤーとして残るための最後の希望だ。ただ残念ながら、KINが売れると思っていた企業が、新しい携帯電話でうまくいくとは必ずしも言えない。MicrosoftがAndroidを怖がるのは無理もない。
Appleは少々事情が異なる。アンテナ問題はさておき、iPhone 4は非常にいいスマートフォンだが、3GSと比べると漸進的な進歩だ。つまり旧モデルより多くの点で優れているが、皆がAppleに期待する革新のレベルには達していないということだ。Appleから見てもっとまずいのは、2010年に入ってから、AndroidのアクティベーションがiPhoneのそれを上回っており、変化のペースは加速しているということだ。Androidを止めなくてはならないのは明白だ。
MicrosoftもAppleも、モバイル分野で真に革新的なものを作ることで現状に立ち向かうことはできるだろう。だがその代わりに両社がやっているのは、多少洗練されてはいるとしても、昔からのおきまりの戦法だ。両社は訴訟によって恐怖の対象と戦っている。Ashton-TateとSCOが技術革新に直面したときの反応とかなり似ている。両社の長期的な成功もまた、同じような運命をたどりそうだ。AppleとMicrosoftが訴訟に集中してつぶれることはなさそうだが、リソースをよそに振り向けることで両社の技術革新の文化が消えてゆく可能性はある。
言い換えれば、技術革新がなくても両社が滅びることはないかもしれないが、無意味な存在になっていくだろう。それもまたよろしくないことだ。
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