インターネット時代のお手軽英語勉強術――“最後の手段”編デジタルワークスタイルの視点

1カ月にわたって掲載してきました英語勉強術。最後の今回は、これまでのやり方で、どうしてもやる気がでない人向けに“最後の手段”をご紹介します。

» 2006年11月08日 18時15分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 前回まで4回にわたって英語勉強術をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。

  1. リーディング編
  2. リスニング編
  3. 会話編
  4. ライティング編

 とはいっても、やっぱり単純に英語を「勉強」するのは、どうもテンションがあがらないという人もいるかもしれません。日本では、「英語」というと、語学というよりも受験科目の一つというイメージが強い人も多いようですから、「英語の勉強」自体にアレルギーがある人もいるでしょう。英語の勉強が楽しくないのに無理矢理頭に詰め込もうとしても、当然効果は薄くなります。

 では、英語の勉強自体を楽しくするには、どうすれば良いのでしょうか? ゲームを楽しんでいたら、いつの間にか英語ができるようになった――なんて都合のいい話はないのでしょうか?

 そこで、今回はインターネット時代のお手軽英語勉強術“最後の手段”として、ゲームを使った英語の勉強法をご紹介したいと思います。

ネット時代のお手軽英語勉強術:最後の手段編

  • ニンテンドーDSの「えいご漬け」をやってみよう
  • 英語版のゲームをやってみよう
  • 英語のオンラインゲームに参加してみよう
  • 【おまけ】これまでご紹介したブログやサービスの一覧表

ニンテンドーDSの「えいご漬け」をやってみよう

 まず、英語をゲームで勉強というので多くの人が最初に思い浮かべるのは、おそらくニンテンドーDSの「えいご漬け」でしょう(2005年11月の記事参照)。テレビコマーシャルも数多く放送されていましたから、やってみたことはないけど聞いたことはある――という人も多いと思います。

 ゲームといっても、基本的にすることといえば、ひたすらニンテンドーDSから聞こえてくる英語を聴き取り、タッチペンで書き取っていくだけ。実は基本的なディクテーションという語学勉強法です。以前、ご紹介したシャドーイングが聴き取った英語をそのまま口に出すのに対し、ディクテーションでは聴き取った英語を書き取ることになります。

 1人でやっていたらすぐに飽きてしまう勉強法かもしれませんが、そこはさすが任天堂。問題を解いているうちにミニゲームができるようになったり、そのミニゲーム自体も英語の勉強に役立ったりと、飽きずに続ける仕組みが満載です。

 最初は聴き取りに苦労しても、慣れてくると不思議と長い文章も聞き取れるようになりますから、ニンテンドーDSを手に入れたら試してみることをお勧めします。

ニンテンドーDSの「英語漬け」。英語を聞き取る必要があるので、イヤフォンがあったほうがいいだろう。

英語版のゲームをやってみよう

 「えいご漬け」でも、やる気にならない方にお勧めなのは、英語版のゲームにチャレンジすることです。

 家庭用ゲーム機で英語版ソフトを入手することはなかなか難しいかもしれませんが、PC用ゲームでは、Amazon.co.jpやオンライン通販ショップから英語版のゲームを比較的手軽に購入できます。ゲームによっては日本語版でも、言語を設定することで英語でプレイできるものもありますから試してみるのも良いでしょう。

 また、ゲームであれば言葉が分からなくてもある程度楽しめます。ゲームで楽しみながら英語に慣れていくことができるわけです。普段ゲームをしないという方には、あまり使えないテクニックですが、海外のPCゲームにも、経営シミュレーションや歴史ゲームなどがあります。ゲームを通じて得たノウハウや知識が、もしかしたら実生活に役立つこともあるかもしれません。

海外ソフトはAmazon.co.jpでも購入できる

英語のオンラインゲームに参加してみよう

 英語のゲームを楽しむだけでは、少し足りないかもしれません。なぜならスタンドアローンなパッケージゲームではコミュニケーションが発生しないためです。少し英語に自信ができてきた方にお勧めしたいのが英語のオンラインゲームです。実は、オンラインゲームでの英語学習こそ、筆者も個人的にお世話になった方法なのです。

 良く英語を身につけるのに最適な手段として、留学やホームステイをして「英語を話さなければならない状況に自分を追い込むこと」があげられます。英語のオンラインゲームでは、当然公用語は英語。擬似的に留学と同じ状況を作り上げることができるのです。

 ゲームというと一般的には男性中心といわれますが、米国のオンラインゲームプレイヤーの64%は女性という調査(10月7日の記事参照)もありますから、オンラインゲームは普通のゲームとはまた違ったプレイヤー層だと思ってもいいかもしれません。

 おまけにオンラインゲームでは、当然あなたは別のキャラクターを演じることになりますから、人前で英語を話す気恥ずかしさからは無縁です。仮にあなたが30代でも、モニターの向こうの相手にはわかりません。ゲームの中には10代やそれ以下の子供もいますから、言葉足らずの人がいるのも日常茶飯事。あなたの英語が上手でなくても、それほど気にする必要はないでしょう。

 もちろん、他のプレイヤーもあなたが日本人ということを意識せずに話しかけてきますから、それなりの覚悟が必要です。その覚悟さえ決めてしまえば、相手からの文章を読む能力、それに英語の文章で答える能力、そして何より実際の英語に近いコミュニケーションを体験することができるわけです。

 通常のオンラインゲームは1000円程度の月額料金が発生するのが普通ですが、最近ニュース配信社のロイターがゲーム内に支局を開設して話題になったSecond Lifeなどは無料で参加することができます(10月17日の記事参照)。それぞれの“ゲーム文化”に慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、一度試してみてはいかがでしょうか。

 もちろん、英語の勉強という名目で始めたものの、ゲームに熱中しすぎて本末転倒に――ということにもなりかねません。特に、人気オンラインゲームは中毒性が高いので問題だとの指摘もありますので、ご注意を。


 さて、5回にわたって掲載してきました「インターネット時代のお手軽英語勉強術」シリーズ。最後に、各回でご紹介したブログやWebサイトなどをまとめて掲載します。

リーディング編
名前 内容
My Life Between Silicon Valley and Japan 「Web進化論」で有名な梅田望夫氏のサイト。リンク先は英語学習に最適なブログを紹介
メディア・パブ オンラインメディアをウォッチするKilimanjaroさんのブログ。BusinessWeek読者が選んだトップ12のブログを紹介
秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ サイボウズ研究所のプログラマー・秋元裕樹氏のブログ。「TechCrunch」など英語ブログの日本語翻訳サイトを紹介
Googleツールバー マウスオーバー辞書機能が便利なツールバー。もちろんGoogleの各種機能とも連携する

リスニング編
名前 内容
CNN.com Podcasting いわずとしれたCNNのポッドキャスティング。ビデオポッドキャストも
BusinessWeek Podcast こちらも有名なビジネスウィークのポッドキャスティング
PodTech.net IT業界の動向を知りたいならこちらがお勧め。Microsoftのブロガーとして有名だったRobert Scoble氏が転職したことでも有名
英語タウンポッドキャスティング 英語学習向けサイトだが、TIIME誌の話題を取り上げるポッドキャスティングも。初級から上級までコンテンツを選べる
Rocketboom ニューヨークから毎日発信される3分間のビデオブログ。日本語版もある
NASA Podcasts 米航空宇宙局(NASA)の公式ポッドキャストが利用できる
毎日新聞ポッドキャスト 英字紙「毎日ウィークリー」の記事をネイティブスピーカーが読み上げる。ブログに日本語の解説もあるので初級者にもお勧め。
Podcasting Juice 語学カテゴリ 上記の毎日新聞ポッドキャスト以外にも語学学習用の日本のポッドキャストがズラリ

会話編
名前 内容
e-com英語ネット オンライン英会話教室。受講料1万4000円(8回)〜
スピークライン こちらもオンライン英会話教室。受講料4900円(4回)〜
Skype P2Pファイル交換ソフトの技術を活用したインスタントメッセンジャー。クリアな音声には定評がある。世界中のユーザーと話のできる「Skype me」の機能も搭載
MSNメッセンジャー マイクロソフトのインスタントメッセンジャー。利用者が多い
Windows Liveメッセンジャー マイクロソフトの次世代インスタントメッセンジャー。MSNメッセンジャーのユーザーとも会話できる
Google Talk Gmailとも連動するGoogleのインスタントメッセンジャー
Yahoo!メッセンジャー Yahoo!JAPANのインスタントメッセンジャー

ライティング編
名前 内容
エキサイト翻訳 エキサイトの翻訳サービス。翻訳エンジンは「BizLingo」
Google翻訳ブックマークレットボタン 「日本語から英語へ」「英語から日本語へ」だけでなく、「英語からドイツ語へ」「英語から中国語(簡体)へ」など、20のブックマークレットを用意。IEやFirefoxで利用できる
毎日かかさず英語でブログ 英語添削サービスを提供。1回400円〜700円

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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